WAR IS OVER! ─ IF YOU WANT IT

a)『ゴールデン・エイティーズ』(シャンタル・アッケルマン
東京都現代美術館の「YES オノ・ヨーコ」展をようやく見に行くことができた。愚劣さに満ちたこの世界で生きていくためには、ユーモアと知性と想像力が武器になる。彼女の作品を見てそのことが確認できた。ちょっと視点をずらして見てみること。それだけでもずいぶん息がしやすくなる。1965年に書かれた「オノの販売リスト」というのがあって、A〜Oまで当時の彼女の作品がリストアップされているのだが、例えば「B.明け方に降る雪の録音テープ……25セント(1インチ毎)/タイプ:a.インドの雪/b.京の雪/c.アオスの雪」という記述を読むともう可笑しくて可笑しくて頬が弛んでしまう。まるでボルヘスが引用した「シナのある百科事典」を前にしたミシェル・フーコーのように。彼女の作品全体に渡って、そのような笑いにつつまれた肯定の力が貫いているように思えた。そしてこの力は「あなたの微笑みはどこに隠れたの」と私たちに問いかけるストローブ=ユイレの作品群に通じるものではないだろうか。
「YES オノ・ヨーコ」@東京都現代美術館(6/27まで)
http://www.mot-art-museum.jp/ex/plan_h16-01.htm