アリ・ハーン

a)『平原の待ち伏せ』(バッド・ベティカー
b)『天と地の間の人々』(セミョーン・アラノヴィッチ)
最新号の『早稲田文学』が出ていたので新宿のABCで立ち読みをする。この間の蓮實・渡部対談の採録が載っていたのだが、id:Godardのレポの方が簡潔で面白かった。またこの号には渡部直己の新連載があり、これも面白い。もっとも最大の目玉は中上健次が20年前に行った「現代小説の方法」と題された未発表の講演で、これを読んでいて「アリ・ハーン」(おそらくヌスラット・ファテ・アリ・ハーンのことだと思われる)の歌に出てくる「悪の町」について彼が語っているところで動揺させられ、感動のあまり涙がこみ上げてきたのだが、立ち読みをしながら泣いている奴など狂人以外の何者でもないので、そこはグッと堪えて平静を装いながら最後まで読んだ。この講演にはまだ続きがあって近いうち刊行されるらしいので楽しみ。その時はちゃんと買います。
平原の待伏せ [DVD]