10 Minutes Older

hj3s-kzu2004-09-24

a)『10ミニッツオールダー 人生のメビウス』(アキ・カウリスマキビクトル・エリセヴェルナー・ヘルツォークジム・ジャームッシュヴィム・ヴェンダーススパイク・リーチェン・カイコー
b)『10ミニッツオールダー イデアの森』(ベルナルド・ベルトルッチマイク・フィギス、イジー・メンツル、イシュトバン・サボー、クレール・ドゥニフォルカー・シュレンドルフ、マイケル・ラドフォード、ジャン=リュック・ゴダール
c)『10 Minutes Older(オリジナル)』(ヘルツ・フランク)
d)『フラッシュバック』(ヘルツ・フランク)

今さらながら『10ミニッツオールダー』を見る。初公開時に見逃していたので名画座で二本まとめて見ようと思っていたのだが、なかなかそういうプログラムを組んでくれるところがなかった。今日見てようやくその理由が分かった。両者の出来の差が激しいのだ。しかも今回はオリジナル版も一緒に見ることができた。同じ10分でもいろいろな使い方があるものだ。きちんと物語を語る作家(ただしこの場合、カウリスマキを除くと皆、余計なオチを付けて失敗している)、あるいは描写で10分持たせてしまう演出力の持ち主、さらには単に10分を流しているだけの作家など。せっかくなので星取り表を付けてみた。神をも恐れぬ暴挙とは知りつつ。なお巨匠を斬るにあたっての判断基準は先の映画美学校映画祭でのそれとほぼ同じだが、それでは巨匠たちに失礼なので若干、点を辛くした。

『結婚は10分で決める』★★★★
ライフライン』★★★★★
『失われた一万年』★
『女優のブレイクタイム』★★
『トローナからの12マイル』★
『ゴアVSブッシュ』★
『夢幻百花』★
『水の寓話』★★
『時代×4』●
『老優の一瞬』★
『10分後』★
『ジャン=リュック・ナンシーとの対話』★★
『啓示されし者』●
『星に魅せられて』★
『時間の闇の中で』★★
『10 Minutes Older(オリジナル)』★

エリセの作品は本当に素晴らしい。この10分のためだけでもこの映画を見る価値がある。それに次いで素晴らしいのがカウリスマキである。ジャームッシュのもいいのだが、やや小咄っぽいのと、手をつけていない食べ物で煙草の火を消すという描写が許し難かったので。ヴェンダースのリンチ化が気になる。ただしあれだけの緊張感を持続させるのは流石。チェン・カイコーには呆れた。ベルトルッチのは最近の彼の作品の中では悪くない。突然、インド映画が始まったのかと思った。ドゥニのは良いのだが、黒人の出し方がもう少し何とかならなかったのか。シュレンドルフは単なるアホとしか思えない。ゴダールはスタンダードで撮るべきだったのではないか。『リア王』や『フォーエヴァー・モーツァルト』からの抜粋がアメリカン・ヴィスタのために上の方がちょん切られていて、本来の画面が持っていた強度が削がれてしまっている。フランクのオリジナル版はちょっと安易な気がする。ところでそれぞれの作品の前にその作家の署名が映るのだが、その筆跡がそれぞれの作品に律儀に対応しているようで面白かった。筆跡鑑定ではないが、こういう字を書く奴はつまらない映画を撮るぞと予測すると、やはりその通りだったりして。
なお『フラッシュバック』には本当にうんざりさせられた。

ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形in東京@アテネフランセ文化センター
http://www.athenee.net/culturalcenter/schedule/2004_09/yamagata2004/indexY.html
10ミニッツ・オールダー コレクターズ・スペシャル [DVD]