Basta!

a)『関東おんな悪名』(森一生
b)『山猫』(ルキノ・ヴィスコンティ
c)『名刀美女丸』(溝口健二
a)諸肌を脱いで長ドスを手にたった一人で殴込みをかける安田道代に痺れる。先日の蓮實重彦氏の講義(id:hj3s-kzu:20041013)で時間の都合で上映されなかった作品。
b) 映画と文化は不倶戴天の敵である。映画好きを自認するなら、東京国際映画祭などというたかだか「文化的」に過ぎない行事に参加したりせず、この作品を見に行くべきだろう。冒頭の風にたなびくカーテンを目にするや、たちどころにヴィスコンティが、「貴族」や「芸術家」である以前に、まぎれもなく「映画作家」であったことが分かるだろう。配給会社の宣伝の仕方があまりにも「文化的」なのが気にならないではないが、この傑作を前にして誰に頼まれたわけでもないのに「哲学」だの「美学」などとついつい恥じらいもなくコメントしてしまう程度の感性の「文化人」*1には『ベニスに死す』か『地獄に堕ちた勇者ども』あたりを与えておけばよい。短縮されたビデオ版ではなく、世界一美しい言語であるイタリア語によるこの完全復元版をぜひ巨大なスクリーンで見て欲しい。
山猫
http://www.crest-inter.co.jp/yamaneko/

*1:公式サイトのコメント欄を参照のこと。