Happy Birthday,Cinema!

a)『のんきな姉さん』(七里圭
a)映画生誕109年目をこの傑作で迎えることができて良かった。現代日本における真のB級映画とはこの作品のことである。限られた登場人物、限られた舞台、そしておそらくは限られた予算と限られたスケジュールで撮られたこの映画は、にもかかわらず(であるがゆえに)、映画にしか可能でない時間の戯れ、嘘、光、音響による多声性を獲得している。『みな殺しの霊歌』(加藤泰)から時空を超えて抜け出してきた佐藤允の老人、あれはイーストウッド映画に出てくるような復讐のために回帰する亡霊だったのだろうか。ストローブ=ユイレの登場人物たちのようにいつのまにかそこにいる三浦友和のおとぼけぶりも素晴らしい。