動物について

a)『DOG STAR』(瀬々敬久
b)『犬と歩けば』(篠崎誠)
a)本来、「動く物」であったはずの犬は、この作品においてはクローズアップとスローモーションによってその映画的運動感を削がれ、単に物語に奉仕するための擬人化されたオブジェと化している。
b)さすがに「歩けば」の一語がタイトルに含まれるだけあって、この生き物のとる様々な姿態が捉えられている。ただその運動感は語りの円滑さを逸脱するほどの狂気には到っていない。しかしこのこじんまり感は悪くない。