ヒッチコック×ジジェク

十年前に翻訳された『ヒッチコック/ラカン』のヴァージョン違いと思いきや、全く別内容なので、すでに前書をお持ちの方も購入をお勧めします。個人的にはジジェクの映画論とかはどうでもいいのだが、今回の『ヒッチコック×ジジェク』には、ミシェル・シオンとパスカル・ボニゼールが八十年代に「カイエ」に書いた論文が数本掲載されているので(大半は初訳)迷わずゲット。
(追記)とはいえ、この種の翻訳書にありがちなごとく、映画関係の用語の翻訳が酷い。例をあげよう。『ソーダストのサリー』→『曲馬団のサリー』、「シネマトグラフィ」→「シネマトグラフ」といったぐあい。あとがきで訳者たちは「映画好き」を自認しているようだが、ホンマかいな。冒頭からこれでは先が思いやられる。日本語タイトルなど分からなければネットで調べればすぐ出てくるのだし、そういう手間を惜しむべきではない。せっかくの好著なのでもったいない。編集者も映画批評家なり映画研究者にチェックしてもらえば済む話なのに。

ヒッチコック×ジジェク

ヒッチコック×ジジェク