行ったり来たり

hj3s-kzu2005-01-28

a)『行ったり来たり』(ジョアン・セーザル・モンテイロ

(あらすじ)
男やもめで家族のいないジョアン・ヴヴには一人息子がいる。その息子も二件の殺人事件と銀行強盗のために刑務所に入っている。ジョアン・ヴヴは、モンテ・オリヴェットの頂きの、リスボンの旧市街にある、広くて日当たりのよい家で孤独に生活している。その家からは莫大な財産が伺い知れる。
ほとんど、あるいは全く、人付き合いのないジョアン・ヴヴ氏は100号路線のバスで、飽きもせず同じ行程を繰り返しながら、毎日散歩をする。行きはプラサ・ダ・フローレスとプリンシペ・レアル庭園との間を、帰りは出発点、つまり家まで。主人公の孤独への意志、彼をあらゆる社会的アプローチに敵対させる亡命状態への意志にふさわしい、この日常生活を、道中のいくつかの出来事だけが時折、変化させる。家では書物とレコードのみがジョアン・ヴヴの伴侶である。ジョアン・ヴヴは家政婦を痛切に必要とし始めるのだが、家政婦としての最低限の能力を彼が要求している以上、なかなか見つけるのは難しい。
息子の出所と、その更正への願いが彼に引き起こした失望は、一連の暗鬱な事件の引き金となり、その事件の中で主人公の犯罪的な性格が明らかになっていき、彼は結局、共同体にとってのアウトローとしての運命を余儀なくされる。それぞれに違いはあるが、二つの映画作品を参照する必要がある。すなわち、W.C.フィールズの『運命のビール』とチャールズ・チャップリンの『殺人狂時代』である。

運命のビール
1.
2.
3.
4.