海の花

hj3s-kzu2005-02-12

a)『海の花』(ジョアン・セーザル・モンテイロ
b)『正午から3時まで』(フランク・D・ギルロイ)
a)この作品についてはid:hj3s-kzu:20040804を参照のこと。なお、詳しいデータは以下の通り(Contre Champ作成)。

海の花  A Flor Do Mar 1986(143分)
監督・製作・脚本:ジョアン・セーザル・モンテイロ/助監督:ペドロ・ルイヴォ/撮影:アカシオ・デ・アルメイダ/録音:ジョアキン・ピント、ヴァスコ・ピメンテル/編集:マヌエラ・ヴィエガス、レオノール・グテレス、マリアンナ・カルヴァーリョ/音楽:バッハ、ベッリーニモーツァルトヴェルディ、カルロス・ラモス(ファド)/製作進行:ジョセ・マゼダ/出演:ラウラ・モランテ(ラウラ・ロッセリーニ)、フィリップ・スピネッリ(ロバート・ジョーダン)、マヌエラ・デ・フレイタス(サラ)、テレサ・ヴィラヴェルデ(ローザ)、ジョアン・セーザル・モンテイロ(襲撃者スタヴローギン)

(あらすじ)

ラウラ・ロッセリーニが子供たちとともに突然ローマに向けて発った時、彼女は二度とポルトガル、いわば彼女が永遠に背後に置き去りにした国、「死の国」に戻らないと確信していた。

しかしほぼ一年の後、ラウラは湾を見渡せるその家に戻り、くつろいだ休日の雰囲気の中、家族に残されたものと、偶然、思いがけぬことを見出す……

夫の死の一年後、ラウラ・ロッセリーニは、彼女の子供のマリアとロベルトとともに、義姉のサラとローザと休暇を過ごすために海辺の家に還ってくる。

家族がボート遊びに出かけている間、彼女は家に残る。国際社会主義者会議が開催中の、そこから遠くない小さなホテルで、パレスチナの指導者イッサン・サルタウィが早朝に暗殺されたことをラジオが報じる。誰もいない海岸でラウラは、小さなボートで海岸に漂着した見知らぬ男と出会う。彼は負傷していて、ラウラは家に誰もいないことを確かめてから、彼を一緒に連れて帰ることにする。ニュースはサルタウィの暗殺とその容疑者の捜索を報じ続ける。ラウラは、ロバート・ジョーダンと名乗るその男の手当をし、自殺したポルトガルの画家である亡き夫ヴィルジリオのアトリエに彼を匿う。それ以来、ラウラとジョーダンは互いに惹かれ合うようになるが、ラウラの方ではそれに抵抗と躊躇を感じるのだった。いずれにせよ、家族の突然の到着によって、二人の間の全てが宙づりになる。

二つの出来事がこの旅の記録を特徴づける。サルタウィの暗殺、さらにタヴィラの港に停泊中の謎の帆船で起きた虐殺である。ある日、予期せぬ出来事がついに訪れる。武装した集団が屋敷を襲撃し、家中を捜索するが、彼らは探している人物の手掛かりを見つけることができない。襲撃者が去ってすぐに爆発音が聞こえる。彼らが乗っていた車が事故に遭ったのだ。ラウラはサラにジョーダンを見つけた状況を説明し、彼の援助を頼む。サラは最近起きた出来事を関連づけようとする。彼女は家族が厄介事に巻き込まれることを恐れているのだ。ラウラと言い争いをしている内に、彼女の古い怨恨が頭をもたげてくる。

しかしジョーダンは再び姿を現し、ローザと子供たちに温かく迎えられる。戻ってきた時のラウラの和やかな雰囲気にジョーダンは驚く。サラにせがまれて、ロバート・ジョーダンはできる限り質問に答えるが、そこに留まる十分な理由があるにもかかわらず、彼が「友人たち」の適切な助力によって、タヴィラに繋がれた帆船、アンジェルス号を取り戻し、目的地に辿り着くことに執着していることが分かる。翌日、彼は作戦の日時を確認する。さらに出発の時を待つ間、ジョーダンは忘れてしまうには長い時が必要なラウラへの愛を再確認する。ラウラがいない夕食の時間に贈り物が届けられる。ラウラはナイトクラブで他の男と会っている。その間にローザはジョーダンに身を任せる。ラウラにとって時はすでに遅すぎたのだ。ジョーダンは皆に別れを告げる。その夜、アンジェルス号の航海の無事を祈って、皆は海辺の家の前に燭台を並べる。家族全員の期待したとおり、アンジェルス号がついに姿を現し、その人目を避けた状態と限界のある航路を示す。一家は中に戻り、家の明かりが一つずつ消されていく。死んだ魚たちの住む水族館のように。