恋はやさし

目白で映画誌。ジャン・ルーシュのために二回さぼってしまい、あっという間に前期最終回となった本日のお題は「「踊る」映画誌(3)番外編「泳ぐ」映画誌」。とすると前回、前々回はフレッド・アステアジーン・ケリーだったのではないかと邪推しますがどうだったんでしょうか。閑話休題。まずマック・セネットの元祖「海水着美人 Bathing Beauties」(1920) を見、次にバスビー・バークレイ振付のレビュー映画『カンターの闘牛士』(1932) と『フットライト・パレード』(1933) を見る。二本とも巨大なプールに半裸の美女たちが幾何学的な軌跡を描くのを真俯瞰で捉えたショットがいかにもバスビー・バークレイなわけだが、例えば前者の女子大寮の朝の目覚めのシーンや、後者の夜のブロードウェイを爆走するバスの煌々と光る車内で踊り子たちが衣装を着替えるシーンのように、よくもまあこんな馬鹿馬鹿しくも素晴らしいことを考え付くものだと感動させられる。次にジョニー・ワイズミューラー主演の『ターザンの復讐』(1934) を見*1、モーリン・オサリヴァンのエロティシズム―目覚めのシーン(エロすぎ)、全裸の水中遊泳シーン(公開時にはカットされたそうな)―に悩殺される。ターザンと巨大ワニ(ゴム製)との格闘シーンも素晴らしい。さてその格闘シーンの撮影のためにMGMスタジオに設えられた巨大プールからターザンが去った後にその女主人となったのが「水着の女王」エスター・ウィリアムズである。デビュー作の『世紀の女王 Bathing Beautiy』、『百万弗の人魚』、そして最後に『Easy to Love(恋はやさし)』を見る。何と言っても『Easy to Love』の水上スキーのシーンが圧巻で、これはもう狂気すれすれと言っても過言ではない素晴らしさ(ひょっとしたらコッポラはこれを見て、『地獄の黙示録』を発想したのではないかと思った)。あまりの凄さに頭がクラクラしているうちに、前期の講義はお終い。後期は9/26から始まるそうです。誰でも参加自由なので皆さんも聴講してはいかが。


a)『旋風の中に馬を進めろ』(モンテ・ヘルマン)★★★

*1:ちなみに山田宏一氏は子供の頃、ターザンとエノケンによって映画の魅力に目覚めたそうだ。