映画千本ノック、あるいは映画の海へ

どうも自分の映画的教養には偏りがあるのではないかとここ数日考えていて、グローバル・スタンダードのいいリスト(一般向け)はないかなと思っているうちに(キネ旬とか文芸春秋のはあまりにドメスティックだし)、そうだ「Sight&Sound」のトップテンがあるじゃないかと思い出した。これは英国の映画批評誌「Sight&Sound」が十年おきに、世界の著名な映画批評家*1と映画作家*2にオールタイムベストを選ばせるものである。ただし人選に問題がないわけではない(例えば日本からはあのひとが選ばれているのに、あのひとが選ばれていないとか)。だが自分の好きな映画作家がどんなベストを選んでいるかを見るのは興味深い。
で、それぞれ50〜60本ある映画批評家たちが選んだベスト*3と映画作家たちが選んだベスト*4の中から自分が見たものをチェックしてみる。結果はともに80%。食わず嫌いのフェリーニベルイマンが足を引っ張っている。とりあえず、これらを全て見ることにしよっと。
次に約1000本位ある投票された全ての映画リスト*5をチェック。中には、えーこんなの選ぶの、というものもあるが、自分の趣味はこの際措くことにする。結果は76%。八割切ってしまった…もっと精進しないといかんね。
皆さんもお暇な時にチェックしてみてはいかが。

(追記)DAさんのコメントにあるように、やはり「グローバル・スタンダード」というのは幻想のようだ。まあ映画は無理してみるものじゃないということですね。ところでこんなもの見つけました。

ジョナサン・ローゼンバウムのベスト1000(『Essential Cinema』からの転載)
http://www.alsolikelife.com/FilmDiary/rosenbaum.html

こちらはさすがいい趣味しています。*6ただ日本映画からは、衣笠、小津、溝口、増村*7、市川、大島、小川、伊丹(十三)、黒澤(明)、北野、鈴木(清順)が選ばれているのに、成瀬も山中も加藤もマキノも三隅も神代も相米も黒沢清も選ばれていないのは単に向うでそれらを見るのが困難だからなのだろうか。
ちなみにチェックしてみたら六割切ってしまった…
そういえばちょっと前に『死ぬまでに観たい映画1001本』という本が翻訳で出てますね。確かクリス・フジワラとかも執筆陣に名を連ねていたはずですが。メリエスの短編が15本入ったDVDがおまけに付いているので買ってみようかな。ちなみに表紙は例のアレです。
ちなみに天才ヤスケンが編纂した三冊の映画ベスト本『映画の快楽』、『映画の魅惑』、『ジャンル別映画ベスト1000』は選者も豪華でかなりの良書なのですが、現在、『映画の快楽』(角川文庫)は絶版なので古本屋で見つけたら即ゲットしたほうがいいです。
そうそうヤスケンといえば『映画となると話はどこからでも始まる』と『映画千夜一夜』も忘れるわけにいきませんね。前者はやはり絶版ですが、巻末に淀川、蓮實、山田の各氏の好きな映画百本―当然、三人ともそれに収り切らない―のリストが載っています。*8古本は高値がついていると思うので図書館で探してコピって下さい。そう考えるとヤスケンさんにはかなりお世話になりましたねえ。
Essential Cinema: On the Necessity of Film Canons死ぬまでに観たい映画1001本映画千夜一夜〈上〉 (中公文庫)映画千夜一夜〈下〉 (中公文庫)映画狂人、神出鬼没ジャンル別映画ベスト1000

*1:http://www.bfi.org.uk/sightandsound/topten/poll/list.php?list=voters&votertype=critic

*2:http://www.bfi.org.uk/sightandsound/topten/poll/list.php?list=voters&votertype=director

*3:http://www.bfi.org.uk/sightandsound/topten/poll/critics-long.html

*4:http://www.bfi.org.uk/sightandsound/topten/poll/directors-long.html

*5:http://www.bfi.org.uk/sightandsound/topten/poll/list.php?list=films

*6:あと彼が選んだアメリカ映画ベスト100なんてのもあります。わざわざAFIのベスト100を隣に並べて。http://www.chicagoreader.com/movies/100best.html

*7:ローゼンバウムが結構、増村を見ているのは実はK女史のおかげ。

*8:蓮實氏のは『映画狂人、神出鬼没』に再録されています。