映画と時間

a)『彼らが私を犯罪者にした』(バスビー・バークレイ)★★★★
b)『追われる男』(ニコラス・レイ)★★★★

映画批評家の赤坂大輔氏が今年の6月に同志社大学でおこなった二回の講義の採録が以下で読める。
http://www.ncncine.com/speechncncine.html
http://www.ncncine.com/contincncine.html
映画における「時間性」を切り口に、古典映画から現代映画まで縦横無尽に語るその語り口に触れるにつけ、蓮實重彦以降の映画批評の地平において、彼が現代日本におけるもっとも重要な映画批評家であると同時に、蓮實批評に対する最良の批判者たりえている、と再認識するのだが、東京在住のこの批評家による講演が関西の大学で行われたことに読者の一人としては歯がゆい思いがする。なぜ映画の講座を持つ都内の教育機関は彼を招聘しないのだろうか。彼こそ、映画がもはや自明のものではなくなった時代に、映画の役割を真摯に考えている唯一の日本の映画批評家だというのに。

マノエル・デ・オリヴェイラと現代ポルトガル映画 (E・Mブックス)

マノエル・デ・オリヴェイラと現代ポルトガル映画 (E・Mブックス)