桃祭のすすめ

いよいよ明日に迫った「桃祭」ですが、本日ようやく私が編集で参加した『座って!座って!』も完成しました(この作品に関しては前日の日記を参照)。さてこの「桃祭」の作品を監督した怖いお姐さん、じゃなかった、素敵なおねえたまたちから「告知をしてね」とお願いされたので、今からしようと思うのですが、「十善戒」の時と違って事前に試写がなかったので、残念ながら私は全作品を見ておりません。なので代わりにほぼ全ての作品に目を通されている筒井武文さんが書かれたパンフ用の文章を以下に転載させていただきます。

映画美学校の2期生だから、およそ10年前に出会った彼女らが内に秘めた映画への灯を絶やしてなかったことに驚かされる。実際、木村有理子を除けば、ことごとく処女作だというのに、その完成度は予想以上であった。それは優れた技術スタッフのフォローが得られたことが大きいが、彼女たちの映画へのアプローチのユニークさにもよるだろう。いい意味で、彼女たちのイメージが裏切られるのである。ああ、あの笑顔の影に、こういう切実な表現衝動が隠されていたのか。一本一本が、映画としての時間を確かに刻んでいる。竹本直美の『明日のかえり路』の、揺れる巨木の枝を背後にした無人駅のベンチに座る二人を捉えたショットの充実感はどうだろう。大野敦子の『granite』での海岸の窪地での緊迫したリズムが妄執を呼んでいく様。笹田留美が自作自演する『座って!座って!』での演技が笑いを超えて、存在の痛切さへと転換する瞬間。かつて『犬を撃つ』という傑作を送り出しながら長い沈黙を続けた木村有理子は、『daughters』で一層の表現の深化を遂げている。現時点で未完成の深雪の『たんぽぽ』は、どんな表情を刻み付けているのだろうか。上映日が待ち遠しい。

愛のこもった実に素晴らしい文章ですね。ということで、あとは皆さんの目で確かめてみて下さい。私ももちろん仲間の晴れ舞台を見に行きます。桃娘一同、皆様の御越しをお待ちしているとのことなので、ぜひ御来場下さい。
なお余談ですが『daughters』以外の全ての作品が「16:9」で撮られているということなので、日頃このサイズに反対の意を表明しているものとしては複雑な思いなのですが、私のこの偏見が快く崩壊することを秘かに期待しています(実は『座って!座って!』の編集も自分で唱えたこの「16:9の法則」との闘いだったといっても過言ではありません)。

桃祭 http://www.hanaoto.com/momo/map.html
平成19年3月4日(日)
14:30開場
15:00〜15:50
daughters(25分)脚本・監督 木村有理子
明日のかえり路(17分)脚本・監督 竹本直美
16:00〜17:00
granite(グラニテ)(15分)脚本・監督 大野敦子
たんぽぽ(20分)脚本・監督 深雪
座って!座って!(20分)脚本・監督 笹田留美
入場料:300円
上映場所:映画美学校第一映写室

a)『アルマ橋で目覚めた男』(ラウル・ルイス)○
b)『白人女に手を出すな!』(マルコ・フェレーリ)◎
c)『蒼き狼 地果て海尽きるまで』(澤井信一郎)○