a)『タロット』(ルドルフ・トーメ)◎
b)『大日本人』(松本人志)×
北野武の「退屈さ」の方が松本人志の「面白さ」よりは映画にとっては貴重かもしれない。前者の「退屈さ」は「日本映画」に収まるべき位置を見出しにくいが、後者の「面白さ」は「日本映画」と程よく調和している(ゆえに興行成績においては後者が前者を遥かに上回ることが予想される)。しかし私は前者の撮る映画をこれからも見続けるだろうが(たとえ事前に予想した「退屈さ」を確認しにいくためだけであっても)、後者の撮る映画を見ることはおそらく二度とないだろう。というのも、後者の「面白さ」は「想定内」のものでしかないからだ(そのこと自体「想定外」ではあったが)。