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a)『ルート・ハルプファスの道徳』(フォルカー・シュレンドルフ)△
帰りに地元の本屋に行ったら、「水声通信」*1の最新号が置いてあり(しかも三冊も!)、こんなところでこんなものを誰が買うのだろうと余計な心配をしつつ表紙を見ると、「ボードレール全集」の個人訳で名高い仏文学者で、今年初めに亡くなった阿部良雄の特集で、目次を見ると嫋々たるメンバーが執筆している。「UP」2006年7月号に載った松浦寿輝の阿部良雄論が素晴らしかったので、とりあえずその場でいくつか拾い読みしたが、渡辺守章、蓮實重彦、四方田犬彦らのエッセイが面白かった。大学一年の頃、先輩に連れられて一度、彼のゼミに潜ったことがあったが、どうもその場の空気に馴染めなかったのでそれきりになってしまった。記憶違いでなければ、その時は確かマクシム・デュ・カンがエジプトで撮った写真をスライドで見せながら解説を加えていたはず。今思うと惜しいことをしたと自分の不明に恥じるばかりなり。