八月納涼大歌舞伎の第三部「裏表先代萩」を観に歌舞伎座へ。勘三郎が政岡、仁木弾正、小助の三役。小悪党の下男小助がメインの世話物のパートを「裏」として付け加えて新味を出したものだと思われるが、個人的には「表」だけでよかったような気も。勘三郎がどの役をやっても上手いのは素人の私でも分かるが、自分が歌舞伎に求めているものは違うので乗れず。とはいえ普通に面白い。話の元となった「伊達騒動」は『赤西蠣太』(伊丹万作)でお馴染み(クライマックスの屏風の立ち回りで思い出した)。それよか今回プロローグから削られた、酒乱の藩主頼兼が身請けした遊女高尾を船べりに吊るし斬殺するという場面をぜひやって欲しかった。こちらの方が遥かに映画的感性を刺激される。普段より若干いい席にしたのだが、また花道が死角になっていて(奇しくも来月も全く同じ席)、鼠に化けた妖術使いの仁木が人間の姿に戻る花道の引込みが見れず、非常に残念。というかあらすじ知らなかったら、前フリなしにいきなり御殿の場の最後にあのタイミングで鼠が飛び出してきても、意味が分からんかったと思うぞ。

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a)『天国の門』(マイケル・チミノ)◎
16ミリ、トリミング版(涙)。