映画美学校映画祭2007のすすめ

今年も映画美学校映画祭の季節がやってきました(今年は9/1、2、8、9に開催)。秋といえば映画祭の季節ですが、私にとって何よりもまずそれは、ヤマガタでもフィルメックスでもなく、映画美学校映画祭なのです。それは映画的快楽が約束された様々な映画祭とは異なり、まずそうした快楽をあらかじめ放棄して臨むべき特異な場としてあります。そんなものが面白いのか?という疑問がすぐさま聞こえてきそうですが、面白いのだ、とここで断言しましょう。その証拠に、といっては何ですが、この映画祭が始まって以来の五年間、私は毎年欠かさずこの映画祭に通い、しかも寝坊(まあ大抵、上映後に朝まで呑んでいたせいですけど)や友人の撮影の手伝いといったことがない限り、ほぼ全作品を見るべく心掛けてきました。というのもそれによって、友人知人の作品だけピンポイントで見るというような見方では見えてこないような、総体としての「自主映画」といったものが視覚的・聴覚的な塊としてこちらに迫ってくるからなのであり、そうした塊こそが映画について思考すべく私に強いるものだからです。その意味で、私にとって、そうした塊とはほとんど映画の魂なのだ、といっても過言ではありません。

とはいうものの、私も全く何も期待しないで見に行くわけではありません。過去に興味深い作品(大好きなものもあれば大嫌いなものもあります)を撮ったことのある作家たちの最新作には自ずと期待が高まります。そこでこっそり、鑑賞ガイドとして、個人的に注目している作品を挙げておきましょう。ただし私も未見なので、それが傑作か駄作かは蓋を開けてみるまでわかりません。またここには挙げないものの中にも素晴らしい作品が潜んでいるかもしれないことは言うまでもありません。以下、上映順に(何と十本も!)。
『西山道 残酷物語』(西山ゼミ)、『魚群探知機』(長谷部大輔)、『TOCHIKA』(松村浩行)、『beautiful day』(大橋礼子)、『電気羊の…。』(千浦僚)、『水娘』『森のさわさん』(遠山智子)、『sad girl』(中矢名男人)、『島影』(丸谷肇)、『狂気の海』(高橋洋
また、再映になりますが、私が関わったオムニバス作品として『万田邦敏の「あなたの××が見たい〜十善戒〜」』と『桃祭07』があります。前者では『火の娘たち』の監督、後者では『座って!座って!』(笹田留美)の編集を担当しています。もし未見でしたら、こちらもご覧いただければ幸いです。
なお、詳しい上映スケジュールは映画美学校映画祭のHPをご参照下さい。
映画美学校映画祭2007 http://www.eigabigakkou.com/festival/index.html