映画美学校映画祭2007その2

映画美学校映画祭2007より。
『西山道 残酷物語』(オムニバス)△
『シマジマヘリヘリ』△
『カレー記念日』×
『休日を詠む』×
『魚群探知機』△
『赤い花』△
『紅い記憶』×
『ハートに火をつけて』×
今日は『西山道 残酷物語』が見られて本当に良かった。特に『kagebara』と『プードルの身代金』がよい。前者は役者がすべて魅力的(特にヒロインの最初のバストショットの美しさには打たれた)。欲を言えば、ラストのソバがパイプから流れ出るみたいな悪趣味を控えめにしてもらえるとありがたい。後者は確かに下手なところもあるが(特に室内のアクション場面)、作り手がのびのびと楽しんで作っている感じが伝わってきてこちらも楽しい。やっぱり自主映画はこうでなくっちゃね。またこれの前座として第10期初等科の実習作品が二本参考上映された内、『心臓物語』が面白かった(アクションの切れがよい)。闇医者に心臓を放り投げると代わりにリンゴが返ってきて、それをキャッチするといったような細部が心憎い。『シマジマヘリヘリ』は映像・音響ともに素晴らしい。島民たちの語りがもっと聴きたかった。せめてこれの倍の長さがあれば傑作になりえたかもしれない。『カレー記念日』はあまりにも時代錯誤だし、物語が始まる前に終わってしまうのはいかがなものか。『休日を詠む』は被写体の女性の語りから判断する限り、「休日」よりも「平日」を撮った方がもう少し面白くなったかもしれないが、保証の限りではない。『魚群探知機』は作者の美意識(というか悪趣味)を受け入れるか入れないかで評価が別れると思うが、私はこの作家の前作よりは楽しめた。女幽霊が魅力的。『赤い花』は踊りのないミュージカルとでもいったらいいだろうか。こういうの結構好きです。『紅い記憶』はクリシェの連続を一時間見せられるのはさすがに疲れる。この手のものをやる時はもう少し新味なアプローチを工夫してほしい。『ハートに火をつけて』は尻切れトンボ。ネタは悪くないのに、それを展開しきっていないのがもったいない。もっと村社会のドロドロした雰囲気を描けたらよかったのに。演出が深夜ドラマ的なのもいただけない。
a)『TOCHKA』(松村浩行)◎
われらの時代の映画作家による反時代的かつ孤高の傑作。賛否両論あろうが、私は断固支持します。
今日は力作揃いで充実した一日だった。上映後、朝まで呑み。