ヤマガタ2007 その2

a) 『雪の結晶(戦前版)』(吉野馨治)○
『かえるの発生』(吉田六郎)○
『マリン・スノー 石油の起源』(野田真吉/大沼鉄郎)◎
『The BONE II』(小林米作、金子文雄)△
『一粒の麦』(松川八洲雄)△
b) 『タツノオトシゴ』『四次元』『吸血コウモリ』『ウニ』『エビのはなし』『タコの性生活』『アセラ、または魔女の踊り』『液晶』(ジャン・パンルヴェ)◎
c)『革命の歌』(ヨウコ・アールトネン)△
d)『川中島合戦』(衣笠貞之助)×
e)『掃いて、飲み干せ』(ゲルト・クロスケ)○
本日はパンルヴェで決まり、以上。
と済ませたいところだが、それも何なので少し書く。まず上映がDVDだったのは大変残念だが(もともと山形に行くつもりがなかったので、英盤DVDをすでに入手していたのだ)、日本語字幕がついていたのでよしとする。というのも、彼の作品においてはユーモア溢れるナレーションがその魅力の一端をなしているから。またパンルヴェについては、アンドレ・バザンによる有名な讃辞があるが(id:hj3s-kzu:20040528)、バザンの難解な文章を読んだだけでは、ギャグ満載のパンルヴェ映画の楽しさはわからないだろう。『エビのはなし』にいたっては、グルーチョ・マルクスのそっくりさんまで登場する(しかも何の脈絡もなしに!)。
今日見た日本の科学映画の中では『マリン・スノー 石油の起源』が白眉。プランクトンが織りなす色彩の乱舞。ただただ美しく魅了される。おかげですっかり科学映画ファンになった。
『革命の歌』は宣伝次第ではミニシアター受けしそうな作品。もっとも私はドキュメンタリーにその手の娯楽性は求めていない。最初の方に出てくる曲に「お腹が空いたら本を読もう」という一節があったのは個人的にツボ。もし私が配給業者だったら、この作品を買って一儲けを企むだろう。ただ構成がやや冗長で後半だれるのと、ミュージカル場面もミュージック・クリップ的なのはいただけない。
川中島合戦』は、脚本が詰め込み過ぎである上に、演出がそれに輪をかけて混沌としているので、話の内容がさっぱり頭に入ってこない。古典映画にしては、これは驚くべきことだ。入江たか子なんて、中盤に一瞬、顔を見せたと思ったら、クライマックスでいきなり屍体になっているし。合戦シーンも敵味方の区別がさっぱり分からず。数分後にいきなり戦いが終結していて、それを目撃した老人と村人たちの間に「凄い戦いじゃった」「で、どっちが勝ったんだ」「わからん」というような会話があったのには悶死しそうになった。
『掃いて、飲み干せ』は‘99年の受賞作品。カウリスマキの映画の登場人物みたいに、冴えない、でも映画的にいい顔をしたオッサン、オバサンたちが見られる。照明、キャメラ位置から判断して、かなり演出が入っていると思うのだが不思議と悪い感じはしない。つくづく35mmフィルムっていいなと思った。
上映後、いつものメンバーで呑み。こちらは食い物が本当に旨い。