吉例顔見世大歌舞伎の夜の部を観に歌舞伎座へ。先月の仁左衛門玉三郎の「牡丹灯籠」はめちゃめちゃ観たかったし、チケットも購入していたのだが、あいにく東京国際映画祭のエドワード・ヤン特集と重なってしまったので、泣く泣く仁左衛門ファンのうちの母にチケットを譲った(今でも深く悔やまれる)。ということで二ヶ月振りだったのだが、ここ一週間ほどの明け方寝て日暮れに起きるという昼夜逆転の怠惰な生活がたたり、遅刻してしまった。息せききって駆けつけた時には最初の演目の「宮島のだんまり」はすでに終わっていて、次の「忠臣蔵九段目」の芝翫菊之助の芝居が始まっていた。雪景色のセットの中で行われるこの母娘心中未遂の場も素晴しかったのだが、今日一番感銘を受けたのはその次の「土蜘」。この舞踊劇の菊五郎の踊りの迫力には本当に圧倒された。前半の僧形に扮した時のもいいのだが、後半、緑の布に包まれた四角い檻状のものから、蜘蛛の化け物としての正体を現わす時の、その姿の異様かつ絢爛たる有り様にはぞっとさせられたし、スパイダーマンよろしく掌から蜘蛛の糸を散らしながらの立回りも素晴しく、彼が舞台の床をドンと蹴ると快い緊張があたりに走る。菊五郎最高。最後の「三人吉三」は冒頭の場だけ見せられてもね。
帰りにアキバのタワレコでアリシア・キーズの新譜を購入。前作に劣らずソウルフルでよい(「アレサ+ジャニス」!)。

As I Am (Snys)

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