一家に一冊、ブレッソン。

a)『Ne change rien』(ペドロ・コスタ)◎
もう当分コスタは見ないつもりだったのに…。ブレッソンの『シネマトグラフ覚書』のある一節を正確に引用する必要があり、もはや古本屋の倉庫と化している自分の部屋(まあ倉庫の中にベッドがひとつ置いてあるような図を想像していただければ)から『覚書』を探すべく、あちこちで山崩れを起こしながら汗だくになって奮闘するがなかなか見つからず、なかば諦めかけた時にすぐ目の前にあったことに気づく。思わず本に向かって「お前ふざけんな!」と怒鳴りかけそうになった。で初めからパラパラめくってみるがお目当てのフレーズがなかなか見つからない。最後から数ページ目でようやく発見。こんな風な流暢な訳になっていた。「何一つ変更を加えず、かつすべてが違ったものとなるように。」(松浦寿輝訳)*1
ところでめくっている間に素晴らしい一節が目にとまったので、映画を撮っているあなたにプレゼント。

シネマトグラフの未来は、制作に有金残らずはたき、しかもこの職業の現場の因習に足を取られることなく映画を撮りつづける孤独な若者たちからなる、新たなる一種族のものである。

シネマトグラフ覚書―映画監督のノート

シネマトグラフ覚書―映画監督のノート

*1:結局、この翻訳は使わなかった。