ショートショートフィルムフェスティバル2008 その3

a)「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2008」アジア&ジャパンプログラムFより
『胡同の一日』(鈴木勉)×
『スペース・バーガー』(Sookyoung Choi)×
『命の一滴』(Shalini Kantayya)×
『23話目』(小路鉱史)×
『DEAD NOISE』(VERBAL)△
『砂のお城』(Robbie McEwan)×
b)「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2008」Dior CHRISTAL プログラムより
『ウェルカム』(キルステン・ダンスト)△
『命の一滴』(Shalini Kantayya)×
『ハグ』(Sang-Hui Lee)×
『霊柩車の男』(大山千賀子)×
『ある建築家の恋』(Dara Bratt)△
『タンゴ・ウィズ…』(Saida Kurpesheva)×
『お父さんは正義の味方』(Nathalie Saugeon)×
c)「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2008」インターナショナルプログラムEより
『結婚騒動記』(Diego Nunez)×
『アメリカ人になりたいのは誰?』(Aaron Beckum)×
『ケイティ・サリバン』(Renee Brown)×
『お父さんは正義の味方』(Nathalie Saugeon)×
『スローモーション男の一生』(Armando del Rio)×
『エレベーター』(ロバート・ゼメキス)×
『彼と彼女の問題』(Karl Raudsepp-Hearne)×
『化粧室の恋物語』(Konstantin Bronzit)×
『チョイス』(Will Pascoe)×
何を隠そう私も1996年の台風の直撃した日比谷野音で「さんぴんキャンプ」を体験した観客の一人であり、当時はかなりヒップホップにハマっていたのだが(休刊した「blast」の前身「FRONT」は創刊号から持っている)*1、大好きだったATCQQ-Tipがいかにもなジャケットのソロアルバムを出したあたりから、制度化され商業主義化してしまったこのジャンルの音楽に全く興味がなくなってしまった(とはいえコモンやルーツはある時期まで聞いていたが)。そんな人間にとってVERBALの撮ったドキュメンタリーは非常に興味深いものだった(もっともm-floの音楽自体には全く興味がないし、いいと思ったこともないので、正直全く期待していなかった)。ここには『AA』(青山真治)にも繋がるような批評的な問題が提示されていたといったら褒め過ぎか(もっとも両者の撮り方は対極にある)。ただし日本のヒップホップ史をある程度、知っていないととっつきにくいかも。キルステン・ダンストが初監督作品にホラーテイストのものを撮るとは意外だった。悪くない。ゼメキスのはいかにも70年代のアメリカの大学生が撮りそうな映画。『ある建築家の恋』は、失顔症の中年男と若い女の恋物語。ウェルメイドかもしれないが悪くない。
総じてそれ以外の作品は(これはショートフィルム一般について言えることかもしれないが)、ある着想が十分に展開されないままに、安易な方向に物語が組み立てられていて、しかもそれを越えるだけの演出のアイデアがあるわけでもないので、技術的には確かに一定水準を保っているかもしれないが、結果としてできたものはありがちでつまらないものになっているように思う。「ショートショートフィルムフェスティバル」の出品作の長さの規定は確か最大25分までだったはずだが、それだけの長さがあればかなりのことが語れるはずなのに。

*1:もっともあの手のファッションには今も昔も興味ありません。