a)『思ひ出の曲』(ダグラス・サーク)◎
b)『いつも明日がある』(ダグラス・サーク)◎
c)『心のともしび』(ダグラス・サーク)◎
d)『愛する時と死する時』(ダグラス・サーク)◎
今回上映された『いつも明日がある』のプリントには重要なショットが一つ欠落している。それは『人生の幻影』(ダニエル・シュミット)にも抜粋されている、バーバラ・スタンウィックがフレッド・マクマレイに最後の別れを告げるクライマックス・シーンを締めくくるショットで、そこでは画面奥に二人を配し、手前のテーブルに不気味な感じで玩具のロボットが置かれているのだが(広角レンズが使われているので、とても大きく見える)、スタンウィックがフレームアウトすると、マクマレイもその後を追い、彼の肘がぶつかった瞬間、ロボットが突然動き出し、テーブルの上を直進する。『人生の幻影』でも、この間、某所で見たバージョン(米国でテレビ録画されたもの)でも、ロボットはそのままテーブルから落下し、その後に、床の上で仰向けになったロボットがギイギイと音を発しながら、手足だけはバタバタと動かし続けている、という強烈なインサートショットがあったはずなのだが、今日見たバージョンではロボットがテーブルから落ちる手前でカットされている。一応、私の幻覚でないことを確認するために、会場にいた私より年長の筋金入りのシネフィルの方二名に尋ねたが、やはり欠落しているという答えが返って来た。*1で、要するに、今日見たバージョンは英国公開版であり、米国公開版とは編集が違うのではないかという結論に。この作品は今日が日本初上映ということもあり、上述のショットがなかったことにされてしまうのは、この作品にとって不幸なことなので、覚書として記しておく。これからこの作品をPFFで見られる方は上のインサートショットを頭の中で補いながらご覧あれ。
(追記)『いつも明日がある』の上映中、何度も会場で爆笑が起きていた。まあどこで笑うかは人の勝手なんだけど少し笑いすぎではあるまいか。しかも笑うポイントがNHKの海外ドラマで笑い声が録音されているようなポイントなので、何だか違うもの(つまりメロドラマではなくそのパロディ)を見せられているような気分になった。

*1:なお「季刊リュミエール」3号のシュミットによるサーク・インタビュー(つまり『人生の幻影』の採録)も参照のこと(特にp.14)。