a)『恋する女』(ジャック・ドワイヨン)◎
B学校でのドワイヨン特別講義に参加。司会が塩田さんで、客席には万田、諏訪、高橋、大工原さんらがいて豪華。普段、外国人ゲストが来てもこんなに講師が集まることはないので、改めて現代日本映画へのドワイヨンの影響力の大きさについて考えさせられた。ドワイヨンが語った内容は、日仏や朝日ホールでの話とそんなに違わないのでここでは繰り返さないが、一点だけそれらの場所では言われなかったことで、私が感銘を受けた言葉を記す。それは「映画学校ではビリアードを教えるべきだ」という言葉だ。つまり彼が行っていることはビリアード台に三つの玉を置き、それを衝くことで、それぞれの玉が他の二つの玉にどのような相互作用を及ぼすかを注意深く見守ることである。ゲームにおいてそれら三つの玉の軌跡が事前に予測できないように、彼の作品の登場人物たちの物語がどのような軌跡を描き、どのような結末を迎えるのか、彼は予め知ることはない。