関西訪問記 その5

というわけで、帰京してから二日ほど通常営業に戻ったのだが、あの濃密な大阪での日々が忘れられないので、また行くことにした。自作の上映に立ち会うのが目的だったので、当初は夜行バスで行こうと思ったのだが、別にこっちで用事もないし、だったら今から新幹線に乗っていけばいいじゃん!と思い立ち、荷物をまとめて東京駅へ直行。もしかしたら『十善戒』前編の挨拶もできるかもと思い、桝井くんにメールする。行きの新幹線ではMacBookで富岡さんや唐津くんにあげる約束をした秘蔵DVDをひたすらコピり、一応、舞台挨拶の時間に間に合わなかった時に備えて、代読してもらう挨拶文を書き上げてメール。そうこうしているうちに新大阪に着く。そこからダッシュで乗り換えて大阪駅まで行き、谷町線の改札までキャリーバッグをゴロゴロ引きずりながら梅田の地下街を駆け抜ける。その間、先方からは「今、『十善戒』の第三話が始まったところです!」といった報告メールが逐一届くので、ケータイは手に握ったまま。中崎町に着き、重いバッグを持ったまま地下鉄の階段を駆け上がり、映画が終わる十分前にプラネット到着。まさにラスト・ミニッツ・レスキュー。
宣伝の甲斐あって観客は前回の二倍に増えていた。まあ平日の昼間だからこんなものか。簡単に観客の皆さんに来てくれた御礼と明日の上映の宣伝をして奥の事務所に戻ると、桝井くんに堀潤之さんを紹介される。『十善戒』をわざわざ見に来て下さったとのことでありがたや。しばし堀さんと立ち話。サイレント映画の話で盛り上がり、『風』(シェーストレム)のVHSまでいただく(ありがとうございます!)。
そこから歩いて前回も泊まったホテルにチェックインし、一息いれてからまた歩いてプラネットに戻る。
『オーライ』(安田真奈)は脚本がぬるい。いい人しか出て来ない映画って基本的に面白くなりようがないと思うんだが。また演出もぬるいので、とても上映時間が長く感じられた。
『プウテンノツキ』(元木隆史)もやはり脚本に難あり。ダメ人間のだらだらとした日常を描くという意図は分かるのだが、それを扱う手つきもだらだらしているので、これもやたら長く感じられた。
終わってから安くてボリュームのある中華定食屋「十八番」に連れて行ってもらって飯を食い、コンビニでビールを買ってプラネットに戻り、朝まで映画マラソン。藤原章の作品に衝撃を受ける。予測不能なモンタージュ。前衛。これを見られただけでも大阪に来た甲斐があったと幸福な気分になりながら、明け方の街路を一人歩いてホテルまで戻り、朝食を食べてから仮眠。