今日はフィトゥッシくんのB学校特別講義の司会を仰せつかったので、いそいそと京橋まで行く。外国人ゲストの対談相手をOBが務めるのって、そういえばB学校史上初ではないかしらんと思い当たり、任務の大きさに身が引き締まる思い(?)。ロビーで松本さんと昨日アテネで見た『吸血鬼ハンターの逆襲』(西山洋市)の素晴らしさについて興奮して語り合う。しばらくしてフィトゥッシくん登場。通訳をしてくれるトシさまがまだ現れないので、松本さんがフランス語でトーク(初めて間近で見て感動)。トシさまがようやく現れたので、昨日の深夜考えたトークの段取りを説明すると、それじゃ駄目、と一蹴される。高師直を前にした塩冶判官の気分(我慢我慢)。仕方ないので妥協案を探る。
で、参考上映の後、トーク開始となるが、うーん、やはりフランスのエリートは手強い。こちらの質問の悉く裏を返してくる。結果、玉砕。まあゲストも根性悪かったが、通訳はそれに輪をかけて根性悪かった。中盤、埒があかないので「では別の角度から攻めてみたいと思います」とこちらが話の流れを変えようとして言うと、ご丁寧にも「攻める」を「attaquer」と訳してくれたので、いっそう向こうの態度が硬化したのがわかった。ずっと平行線を辿るが、話がストローブの言う「戦略点」(point de stratégie)の重要性に及び、ようやく話が合う(だから最初からこういう段取りにすりゃよかったんだよ!)。しかし講義の最後をラカンの『セミネール』からの引用「もしあなたたちが私のことを理解したとすれば、それは私が自分を上手く説明できなかったからです」で締めるあたり、ほんとフランスのインテリって根性悪いわ、と爆笑してしまった。終わってから、杉原さんに、自分の聞きたいことばかり質問するんじゃない、とお叱りを受ける。打ち上げでフィトゥッシくんに「ヴー・ぜっと・こらじゅー」と言われたので、「ヴー・ぜっと・めしゃん」と返す。*1なお以前、現代フランス映画に蔓延する「FEMIS問題」について言及したら(id:hj3s-kzu:20080821)、某氏から「フィトゥッシはFEMIS出身ではない」というツッコミを受けたのだが、今日の対談で実はストローブの助監督になる前はFEMISに通っていたことが判明。やっぱりね。あと『集い』(遠山智子)に出演されていた廣瀬さんと十年ぶりに再会(当時、私はカチンコ担当)。

a)『ローマ王のための夜想曲』(ジャン=シャルル・フィトゥッシ)◎

*1:「われわれが外国語を学ぶ唯一の目的は、日本語を母国語とはしていない人びとと喧嘩することである」(蓮實重彦『フランス語の余白に』)