a)『Le Récit du Colonel』『Une dame vraiment bien』『Bébé tire à la cible』『Bout de Zan vole un éléphant』『Erreur tragique』『Le Coeur et l'argent』『Le Printemps』『La Fée des grèves』(ルイ・フイヤード)◎
フイヤードの初期短編集から。特に『Erreur tragique』が素晴らしい。若い妻の不貞を疑い嫉妬に狂った侯爵が、夫人の乗る馬車の馬の目隠し革に火のついた葉巻を仕込む。途中、熱さのために猛り狂った馬は、御者を振り落とし、物凄いスピードで走り出す。ヒロインの乗る操縦不能の馬車をキャメラは斜め後ろから前進移動で追っていくのだが、伊藤大輔だったらしつこくショットを積み重ねていくだろうこのサスペンスを、フイヤードはたったワンショットだけであっさり処理して先に進んでしまう。何という贅沢さ。