a)『山中貞雄パラパラ漫画アニメ』○/『戦国群盗傳』(杉江敏男)◎
b)『恋と十手と巾着切』(井沢雅彦)○
『パラパラ漫画アニメ』は「山中が学生時代に使用した辞書に描かれた3篇のパラパラ漫画」を動画化したもの。そこには大立ち回りの俯瞰ショットがあり、船を使った追跡シーンがあり、疾走する馬を捉えた横移動ショットがあった。こんな複雑なパラパラ漫画は初めて見たが、実に映画的なダイナミズムに溢れていて大いに感銘を受けた。
『戦国群盗傳』は確かにこちらのリメイク版の方が個々のキャラが立っていてオリジナル版より面白い。撮り方も例えば冒頭の襲撃シーンで、オリジナル版だと普通に草原を遠くから襲ってくるだけだが、こちらの方は斜面を利用していて、より西部劇的な要素が強くなっている。見ていて潤色を担当した黒澤明『乱』とモチーフが似ていることに気づく(親子関係とか)。シラー的というよりはシェイクスピア的。ちなみに司葉子がボーイッシュな格好で木に登ったりする、ファンには堪らない逸品。