関西訪問記2010 その2

昼に大東洋を出て、シネ・ヌーヴォで『マニラ・光る爪』(リノ・ブロッカ)を見るために九条まで移動。来月始まる大阪アジアン映画祭のプレ・イベントである「アジア映画の巨匠たち」内での上映だが、そのこともあってか、場内は満席。ロビーで山崎さんたちに会ったので挨拶するが、こう頻繁に関西に通っていると、もはや自分がここにいること自体あまり驚かれなくなる。上映前に来月の映画祭のアナウンスが景山さんからあり、全上映作品の予告編が30分ほど流される。個人的に気になったのは、ジョニー・トーの新作(空地で殺し屋たちがピストルを撃ちまくって無人の自転車を動かすというシーンはいかにもジョニー・トーらしくて笑った)と渡辺真起子主演の『トルソ』(山崎裕)くらいか。名作の誉れ高い『光る爪』は、ちょっと詰め込み過ぎの気がした。映画が終わった頃、桝井くんから電話が掛かってきたので、プラネットに移動。空腹だったので、一緒に天六の定食屋「十八番」(プラネット周辺で食事をしたい時は、安くて旨くて量もあるのでオススメ)で飯を食ってから、コーヒーが飲みたくなりドトールを探していると、商店街で景山さんの奥様と娘さんにお会いする。やはりさっき『光る爪』をご覧になっていたとのこと。で再びプラネットに戻り、来月の「シネドライブ2010」で上映する予定の私の処女作『BLANC VACATION』の映写チェックをしてもらう。何せ撮ったのが20年近く前で、それ以来見てなく、しかも8mmフィルムなので、ホントに上映できるのか保存状態が心配なのだった。しかも昔、B学校同期のIさんが見たいというから貸したら、誤ってフィルム踏んずけたという目撃証言もあるし。全カット記憶してはいたが、キチンとした劇場のスクリーンに映写して見たのは初めてなので、ちょっと感動した。この作品、大学時代に蓮實先生の授業で一度上映して頂いた後、自分も見たことがなかったし、その時にいた学生以外、観客を持たなかった映画だが、見直してみたら意外に見るに耐えた。何よりもアッという間に終わるのが美点かと。あと自分でも驚いたのだが、昔からやってること変わってないなぁというか。トラベリング、パン、女優のアップ、日本文学へのアプローチとか、自分が今やっていることの形式的な特徴は、このたった8分の作品にほとんど全て含まれていたのには吃驚(もし興味を持たれた方がいたら、来月大阪まで見にきてね。ちなみに私がこれまで撮った全ての作品を上映予定)。で映写チェックが終わった後、手伝ってくれたスタッフのYさんと桝井くんと一緒に呑兵衛へ。で、だらだら朝までだべってから、そのまま朝バスで帰京。
a)『マニラ・光る爪』(リノ・ブロッカ)△