告知です 反権力のポジション―キャメラマン 大津幸四郎

大津幸四郎特集最終日6/16(木)のトークショーの司会をします。出席者は大津さん、「フェンス」の藤原敏史、私。岩波映画を経て、小川、土本、佐藤作品の撮影を担当された日本ドキュメンタリー界の生き証人、大津さんのお話が聞ける貴重な機会です。 http://bit.ly/iInbZ3

大津さんが撮影を担当された最新作「フェンス」の話から始まって、おそらく今年の頭にアテネで藤原くん、舩橋くん、私でやったギタイ・シンポの時のように現代日本ドキュの現状についての話にまで踏み込むかもしれません。また大津さんが「40年後の三里塚」を撮った貴重な映像の抜粋も上映予定。

トークの最後にQ&Aの時間を多めにもうけますので、各自、質問をご用意の上、ご参加下さい。「フェンス」に限らず、大津さんが撮影を担当した他の作品についての質問でも構いません。連日トークに参加してQ&Aで誰も質問しないのを見てもったいないと思っていました。最終日なのでぜひ。

不幸にして今回の大津特集には通えなかったけど、最終日だけは行くよというヤングシネフィルのための予習の手引きを以下に。土本・大津コンビの軌跡については、同じく6/16(木)までモーニング・レイト上映中の「まなざしの旅」をオススメします。http://t.co/pKynAos

また大津さんは「大野一雄 ひとりごとのように」(2005)で監督デビューされました。71歳の新人監督が撮ったこの瑞々しい映画は、下肢の自由を奪われた舞踏家に何ができるか、という問いへの感動的な回答となっています。DVDレンタル可。

水俣病の患者さんを見つめてきたからこそ、最晩年の大野一雄を撮れたのでしょう。ダニエル・シュミットの登場人物と化した大野一雄も素晴らしいですが、それとは違う彼がこの作品では見られます。それはドゥルーズ=ガタリ「哲学とは何か」冒頭の芸術家の老いと自由をめぐる議論と深く共鳴しています。

なお大津特集のタイトル「反権力のポジション」は「反体制」とか言う場合の「反」ではなく、そうした二項対立から逃れる「×(バツ)」記号として(つまり「×権力」)理解すればいいかなと個人的には思います。