2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

桃まつり、西へ その1

前日見た『PASSION』(濱口竜介)を巡って、熱いコメントの応酬が深夜に勃発してしまい、翌朝は早起きして新幹線に乗らなくてはならないのだが、全く寝られないので『ゆれる』(西川美和)を見始める。今までスルーしてきたこの作品だが、何故、今頃見ている…

きつね大回転

冬の日の澄んだ光の中、一組の男女が神社の境内で奇妙なやりとりをしている。「きつね」を捕らえるために女が油揚げを餌に罠を仕掛けようとするのだが、男は生肉の方がよいと言うのだ。この二者択一で問題になっているのは、ある対象についてのフィクション…

PASSION

a)『アコーディオン』(イーゴリ・サフチェンコ)○ - b) 『PASSION』(濱口竜介)△ 「反射してますか?」この溝口健二の口癖を何度も思い浮かべながら、最初の三十分の、役者たちの「即興演技風の芝居」をうんざりしながら耐えた。何故、自分が「今ここで」…

a)『お茶漬の味』(小津安二郎)◎ b)『ズヴェニゴーラ』(アレクサンドル・ドヴジェンコ)◎ c)『武器庫(アルセナール)』(アレクサンドル・ドヴジェンコ)◎ ホントは三回目の『彼方からの手紙』を見に行く予定だったのだが、アテネで久々に松村くんに会っ…

瀬田なつきにはヌーヴェルヴァーグが隔世遺伝している!

a)『早春』(小津安二郎)◎ b)『彼方からの手紙』(瀬田なつき)◎ 満員の劇場で二回目の『彼方からの手紙』を立ち見で見る。やっぱりコレ凄いよ!(id:hj3s-kzu:20080330) 鳥肌立ちまくり、涙腺緩みっぱなしで今回も鑑賞。今年最も重要な日本映画の一つであ…

a)『錨をなげろ』(船曳真珠)△ b)『second coming』(吉田雄一郎)× 「アクション映画」とは、映画の本質を体現する高貴なジャンルを指すので、「アクション」もろくに撮れない人間が軽々しく、自作を呼ぶのにこの言葉を使ってはならない。 前置きはさてお…

a)『東京暮色』(小津安二郎)◎ b)『コロッサル・ユース』(ペドロ・コスタ)◎ 上映前に蓮實重彦氏の講演あり。レポをアップしないようTくんに釘を刺されたのでしません。そのうち活字になるのでは。 ところでヴィスタからスタンダードに戻ったのは『ヴァン…

團菊祭五月大歌舞伎の夜の部を見に歌舞伎座へ。演目は「白浪五人男」と「三升猿曲舞」。「白浪五人男」は、菊五郎、団十郎、左団次、時蔵、三津五郎という豪華キャスティングで、菊五郎が弁天小僧。通しで見ることで、この戯曲のエンターテイメント性がよく…

夜をぶっとばせ

佐藤雄一さんから詩誌『kader0d』2号を送っていただいたので、早速、佐藤さんの書いたものだけ一通り読み、感想をメールする。目次をみると「幽霊」小特集のようになっているところが面白い。ロベール・デスノスの感動的な手紙が素晴らしい翻訳で載っている…

a)『博多っ子純情』(曽根中生)◎ 曽根中生は『EUREKA』より二十年早く『ダーティーハリー』をパクっていた。 昨日のフォードで思い出したのだが、ストローブ=ユイレがフォードについて語っているインタビューを以前翻訳したのでよかったらどうぞ(id:hj3s-…

人に歴史あり

a)『馬上の二人』(ジョン・フォード)◎ Aさんの修了展(写真)の最終日だったので江古田へ。一足先に会場に着いて入れ違いだったKさんと池袋で落ち合ってお茶。その後一人で御茶ノ水へ。大画面で見るフォードは一段と素晴らしい。どこかでフォード映画祭や…

徹夜で原稿の直しをやっていたのだが、途中で意識を失い、昼頃、Nさんの催促の電話で目が覚める。まあ数カ所、言い回しを変えればいいだけの話なのだが、ボキャ貧ゆえに難儀する。数時間後、ようやくオッケーがでたので、休日の残りの時間を有意義に使うべく…

a)『昼下りの情事 変身』(田中登)○ 大連から一時帰国中のヨ氏を囲む呑み。Yくんと渋谷のガストで先に二時間ほど時間をつぶしていたため、さすがに話題がなくなる。呑み屋が土曜で二時間制だったためにまだ21時前に追い出され、さらにセガフレードへ。早起…

PTAの新作の最後の献辞について、どうもトンチンカンな思い違いをしている人が世間には沢山いるようなので解説すると、あれが感動的なのは、これまでアルトマンの出来損ないみたいな映画(『ブギーナイツ』、『マグノリア』)を撮ってきた彼が、アルトマンと…

一家に一冊、ブレッソン。

a)『Ne change rien』(ペドロ・コスタ)◎ もう当分コスタは見ないつもりだったのに…。ブレッソンの『シネマトグラフ覚書』のある一節を正確に引用する必要があり、もはや古本屋の倉庫と化している自分の部屋(まあ倉庫の中にベッドがひとつ置いてあるような…

a)『わ・れ・め』(堀禎一)○ 『弁当屋の人妻』も『草叢』もDVDはR-18指定なのに、なぜかこの作品だけR-15指定なのだが、そのせいでセックスシーンの大半がボカシによって覆われてしまい、せっかく映画作家が丹精込めて撮った長回しのショットもその魅力が半…

で、実は原稿の〆切が昨日だったので徹夜して書いたのだが、あともう少しというところで力尽き、睡魔がおそってきたので、一寝入りしてから残り書こ、ととりあえずできた分だけメールし、爆睡。桃娘のOさん(何を隠そう『AA』のプロデューサー)からのメール…

a)『ヴァンダの部屋』(ペドロ・コスタ)◎ b)『現代の映画シリーズ:映画作家ストローブ=ユイレ』(ペドロ・コスタ)◎ c)『六つのバガテル』(ペドロ・コスタ)◎ d)『タラファル』(ペドロ・コスタ)◎ e)『うさぎ狩り』(ペドロ・コスタ)◎ コスタ三昧でお…

a)『ヨーロッパ2005年、10月27日』(ストローブ=ユイレ)◎ b)『百本の釘』(エルマンノ・オルミ)◎ c)『骨』(ペドロ・コスタ)◎

a)『溶岩の家』(ペドロ・コスタ)◎ b)『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(ポール・トーマス・アンダーソン)◎ PTAの新作はあまりの素晴らしさに、終わった瞬間、思わず立ち上がって拍手しそうになった。*1 *1:さいたまのシネコンのレイトなのでしないけど。

a)『憐』(堀禎一)◎ 前言を翻して申し訳ないのだが(id:hj3s-kzu:20080330)、これが正真正銘の本年度日本映画ベストワン。 上映後、堀くん、赤坂さん、伊藤洋司さん、Fくんと呑み。大学一年生の時、蓮實先生に私のレポート(『生きるべきか死ぬべきか』評…

a)『アイム・ノット・ゼア』(トッド・ヘインズ)×