SEX配達人 おんな届けます

hj3s-kzu2004-09-06

a)『弁当屋の人妻〔SEX配達人 おんな届けます〕』(堀禎一
a) 瑞々しい傑作。しかも処女作でこれだけ確かな演出なのにも恐れ入った。「ピンク映画」や「日本映画」という特殊性を一足飛びに跨ぎ越して、「世界映画」の普遍性へといきなり到達している。一見、日常的にみえるが実は少しも日常的ではない題材をスタッフ・キャストに新しい血を導入することで凡百の演出家にはまねできない作品へ変貌させている。一見、処女作にしては全く野心的でないようにみえるこの作品の映画作家の野心は実はこうしたところに隠されている。彼は『市民ケーン』のオーソン・ウェルズのように野心的なのだ。そしてその賭けに見事に勝利している。弁当屋の店先での切り返しの何と素晴らしいこと。主人公たちがこたつを挟んで向かい合うショットの何て素晴らしいこと。役者たちの表情の何て素晴らしいこと。美点を数え上げたらキリがない。これが映画だ!と触れ回りたくなるような珠玉の作品。初公開時に見逃してしまい、先月のアテネフランセでの特集上映(その時の題名は『宙ぶらりん』)にも行きそびれ落胆していたのだが、ようやく見ることができ、義理を果たせた気分だ。おめでとう、とひとこと言いたい。こんな傑作がひっそりとビデオ屋のエロVシネ・コーナーに埋もれているのはもったいない。どうかお願いだから、男女を問わず、すぐにでもビデオ屋に行って探して見てほしい。そしてこの映画作家の名前を記憶に刻みつけてほしい。