よいお年を!

晦日なので一年を振り返る。今年は御多分に洩れずコロナ禍のためにリモートワークを強いられたが、これがやってみると意外に自分のライフスタイルには適していたのだった。とはいえ、前期は慣れない遠隔授業のための教材づくりに忙殺され(給料三倍もらわないと割が合わないほど)、しかも六月に入ると、例年同様、映画祭の審査の仕事を同時並行してやっていたので死ぬかと思った。そのため、講義動画のおすそ分けも第五回までで中断してしまった(後期の分まで入れると全二十四回分ある)。とはいえ、後期になると慣れてきたせいもあり(手を抜く勘所がわかるようになったと言うべきか)、再開された国アカの特集に日参しつつ、業務をこなすなんて芸当もできるように。来年もリモートワークになりそうなので、今年の「貯金」が活きそうで嬉しい。

映画批評家としての仕事としては、八月に神戸映画資料館堀禎一特集のために赤坂さんとトークし(採録は、https://kobe-eiga.net/webspecial/report/2020/08/685/)、十月には「ヴィタリナ」の関西公開に合わせてラジオ関西「シネマキネマ」でペドロ・コスタについて喋り倒した。ともに吉野ディレクターにお世話になり、今年で番組を離れられる同氏との六年にわたる「共闘」への感謝の意をここに記したい。

コロナ禍の思わぬ副産物としては、各地でオンライン映画祭が催されるようになり、長年行きたいと思い続けていたポルデノーネ無声映画祭にオンラインではあったが「参加」できたこと(きちんとヴァーチャルの座席まで用意されてあった遊び心が憎い)。一見地味なラインナップだったが良作揃いだった。いつか実際に行けるといいな。

うちの三歳児は国アカの「V4中央ヨーロッパ子ども映画祭」でついに映画館デビューした(同伴したが、字がまだ読めない子供が多い中、字幕付きの作品を見せるのは大いに疑問。またラインナップも正直、疑問符)。

(追伸)

この八年近くニュース映像で目にし耳にする度に不快な思いをしてきたあの醜い顔と声から今年はついに解放されて本当に良かった。あいつのためにどれだけ無駄なエネルギーを消費してしまったことか。来年はあのバカが二度と復活することのないような世の中になってほしい。