動体視力について

hj3s-kzu2005-01-27

『スポーツ批評宣言』が出た去年あたりから、蓮實氏が「動体視力」という言葉を流行らせようとしているが、私ぐらいの歳だと、この言葉を聞くとついつい『ゲームセンターあらし』という漫画を思い出してしまう。小学生の頃、愛読していた「コロコロコミック」という漫画雑誌にそれは連載されていたのだが、連載の初めの頃に主人公のあらしが当時流行していたインベーダーゲームでライバルを倒すために「動体視力」を鍛えようと、線路沿いに立って通過する電車の車体に記された車両番号を読み取る訓練をするという描写があって、*1ご多聞にもれず件のゲームにはまっていた私は一読感嘆し、早速、翌日からそれを実践したりしたのだった(もちろん三日坊主)。そんなことをつらつら考えながら歩いているうちに、ふと何故あらしはゲームをするのに逆立ちをするのだろう(何と不経済な!)という疑問が頭をもたげ、「月面宙返り」のポーズ(図版参照)が脳裏によみがえった瞬間、道で思わず爆笑してしまいそうになった。ところで蓮實氏が流行らせようとして流行らなかったキーワードというのはこれまでにいくつかあって、そのなかでも私が一番好きなのは十年ほど前の「魂の唯物論的な擁護」で、今でも「唯物論」という言葉を使う時には、反射的にこの言葉を思い浮かべてしまうのだった。
ゲームセンターあらし http://www.m-sugaya.com/arashi/

*1:小出君の指摘によれば、『あしたのジョー』にも同じような描写があるらしい。