よいお年を!

晦日なので一年を振り返る。春に自分の映画人生において大きな存在であった青山さんが急逝してしまったので、「中央評論」に書くつもりで準備していたカラックス論を止めて、弔い合戦のつもりで急遽、青山論を書くためにGW中ずっとホテルでカンヅメをし脱稿。おかげで原稿料の二倍もホテル代がかかった…。春学期が終わったタイミングでコロナに罹り、妻子に感染しないように細心の注意はしていたものの、やはり狭いマンション暮らし故それも無理で一家全滅。ゾンビだらけの世界では、ゾンビから身を守るよりも、ゾンビになった方が楽という妙な感慨を覚えた。高齢者や基礎疾患持ちでない限り、一週間ほどで呆気なく社会復帰できるので、双六の「一回休み」みたいなもんだなとも。ただアテネフランセでの十数年ぶりのトークは、万全を期して数日前から近くのホテルで準備していたものの、病み上がりの身体のためか、当日微熱があったために、結局ホテルからのオンライントークとなってしまったのが心残り。秋から年末にかけてはTIFFアテネの中原さんの特集に通いながら、去年の今頃は青山さんとこの辺で普通に会話してたんだよなとしんみり。青山さんの他にも年末にかけてゴダール、ストローブ、吉田喜重とやはり自分の映画的形成に強い影響を与えた映画作家たちが次々と亡くなり、現代映画の第一期の終焉をつくづく感じるとともに、彼らの新作をもう見ることが永久に叶わないのは悲しいことだが、老人ばかりに過大な期待をせずに、自分を含め、彼らより若い連中たちが新しいものを生み出すべく努力しなくてはいけないのだなどとも改めて思った。