チャンバラ活劇

目白で映画誌。今日のテーマは「チャンバラ活劇」。といっても日本のそれではなく、ハリウッドのである。ダグラス・フェアバンクス(『奇傑ゾロ』『ドンQ』『ダグラスの海賊』)からエロール・フリン(『海賊ブラッド』『ロビン・フッドの冒険』『シー・ホーク』)を経てジーン・ケリー(『三銃士』)に到るアクションの系譜を、それらの作品の活劇シーンを見ながら辿っていった。山田宏一氏が「ほとんどハリウッド黄金時代のパロディ」と語る『三銃士』さえも素晴らしく、これらに比べると傑作であるはずの『隠し砦の三悪人』(黒澤明)ですら霞んで見える。黒澤活劇に想を得た『風とライオン』(ジョン・ミリアス)にいたってはもう画面が弛緩していて、サイレント期から黄金時代を経て、ハリウッドが何を失ったかを見せつけられるようで悲しくなった。特に痺れたのは『ロビン・フッドの冒険』(マイケル・カーティス/ウィリアム・キーリー)と『シー・ホーク』(マイケル・カーティス)で、前者では、エロール・フリンが鹿を担いで王宮の晩餐会に現れ、それを王弟の面前に放り出すまでの演出のカッコよさや彼に腹を立てるオリヴィア・デ・ハヴィランドの美しさが鮮やかなテクニカラーで捉えられ、後者では表現主義的な陰影が効果的に使われている活劇シーンが素晴らしく、マイケル・カーティス侮りがたし、と思ったのだった。エロール・フリンのコスチューム・プレイをその「脱構築」的形態とも言えるブレッソンの『湖のランスロ』、ロメールの『聖杯伝説』、モンテイロの『シルヴェストレ』と比較して考えてみるのも一興かも。なお5/2は休講だそうです。id:hj3s-kzu:20050418も参照のこと。


a)『ダラスの熱い日』(デヴィッド・ミラー)★★★