シネ砦

新宿ルミネで安井ゼミの紅一点、よっしー氏にばったり会ったので一緒にお茶することにしたのだが、そこで「シネ砦」の感想を聞かれる。実はすでに入手しているのだが、まだキチンと読んでいない旨伝えると、彼女はバッグから「シネ砦」をさっと取り出し、ホレとばかりに私の目の前に差し出す。ほぼその場で小一時間、軟禁状態で読まされて分かったのだが、オールドファンには安井豊の復活ばかりが話題になっているこのフリーペーパーの一番の読みどころは、実はよっしー氏の文章なのだった!ほぼ一年前にひっそりと配付された『キングス&クイーン』特集の「創刊準備号」では、初めて批評に手を染めた人間特有の恥じらいをもっておとなしい文章を書いていた彼女だが、今回の日本映画特集では、ガーリーな批評的知性の炸裂とも言うべき鋭い寸言を随所に読むことができる。つまり、よっしー氏の文章が一番面白い(この点、西山洋市と同意見)。もっともつつしみ深いよっしー氏ゆえ、別に自分の文章を読ませたいがために私に「シネ砦」を差し出したわけではなかろうことは彼女の名誉のために強調しておきたい。安倍ちゃんが総理を辞任してしまった今となっては、ここで紹介するのは遅きに失した感はあるが、だからといってこの批評誌の価値が減ずるわけではいささかもない。なお(長)と署名されている文章が、よっしー氏の手によるものである。
ちなみに「シネ砦」はユーロスペースシネマヴェーラアテネフランセ文化センター、フィルムセンター、映画美学校あたりで入手できると思います。