a)『四畳半襖の裏張り』(神代辰巳)◎
b)『青春の蹉跌』(神代辰巳)◎
c)『イエローキッド』(真利子哲也)△
イエローキッド』は主人公が「変身」するまでは悪くないと思ったが、その後の展開がつまらない。これは狂言回しのように先回りして挿入される漫画(とナレーション)で語られる内容とその後の実写映像のズレが予想を超えるものではないため、見ていて何ら驚きを産み出さないことからくるものだが、結局のところそれは、ラストショットのモノクロ映像が謎かけとして提示されると同時に謎解きとして物語全体を回収してしまうという退屈さに見合ったものだし、何よりもそのショットがはっきりと語ってしまっているように、この作り手がフィクションの持つデタラメな力を信じ切れていないこと(フィクションへの怯え?)に由来するつまらなさのように思える(この映画が採用したメタ構造もそれに起因するのだろう)。なおこの作家の過去作についての私の考えはid:hj3s-kzu:20090326にすでに述べた。