ゲッタウェイ/CoCoon騒動

a)『ゲッタウェイ』(サム・ペキンパー

a)『ザ・ファミリー』、『マジェスティック』にも出ていたアル・レッティエリが素晴らしい。マックイーンに撃たれて死んだと思いきや(といっても額に撃ってとどめを刺すのではなく、肩の辺りを狙っているので変な感じはしたが)、ターミネーターのように蘇る。残念なのは、実は防弾チョッキを着ていたために一命を取り留めたのだが、こういった説明抜きに復讐に憑かれたゾンビあるいは幽霊のような存在として描いたらもっと面白いのに(例えば『Helpless』の光石研のように)。
一方、マックイーンもなかなか良いのだが、特に痺れたのは、アリ・マッグローとの逃亡途中でカーラジオが故障したために、田舎町のメインストリートにある電器屋に立ち寄ってラジオを買い求めると店中のテレビが彼の顔写真を放映している。店を出た後、今度は銃器店にいって散弾銃を買おうとして店主に紙で包装してもらう。パトカーが店の前を通り過ぎたので、包装されたままの銃を奪って、通りの角のショーケースの蔭に隠れて、銃口と引き金の所だけ紙を破り、その包みを抱えてゆっくりと通りを横切って(その後ろ姿の佇まいが何とも美しい)自分の車に近付き様に警官に向かって発砲するシーン。ここは、複雑な状況における主人公と相手方のアクションをスローモーションを交えて分析的にデクパージュしていく、ペキンパー特有の編集の才が遺憾なく発揮されている。また後半、殺し屋たち(皆カウボーイハットを被っていて、オープンカーに乗っている時、風に吹き飛ばされないように一様に手で押さえている様がまるでカウリスマキの映画のようにユーモラスなのだが)をホテルで次々に倒していく場面で、その死闘を音楽を使わず状況音(通りを走る車のクラクションがかすかに聞こえる)だけで即物的に描写していくところなども素晴らしかった(ただ何故か最後に残ったレッティエリのところだけは音楽が掛かるのだが)。


ゲッタウェイ


発売日 1998/04/03
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さて本日も「カイエ週間」の『向こう側から』(シャンタル・アッケルマン)を見逃す。ただし寝坊のためではない。昨晩、コクーン(SonyのHDD/DVDレコーダー、念のため)に録りだめしておいた映画をDVDに落とそうと思い、セットしてから寝た。朝、起きてみるとエラーの表示が出ている。まあいつものことだから再起動すればいいだろうとRESETボタンを押すが、一向に立ち上がらない。何度か試してみても駄目である。しかも今日は衛星劇場の『暁の合唱』(清水宏)の最終放送日(しかも未ビデオ化)なので、このまま放置して外出するわけにもいかない。アッケルマンと清水宏のどちらを取るかで悩んだ末、清水宏を取ることにした。月末に録画しなくてはならないものも沢山あるし。ところがカスタマーセンターに問い合わせても全く問題は解決されない。結局、数度の電話連絡の後、休日をまるまる潰された上に出た結論が、「引き取りの上、工場で検査」ということになった。しかも場合によっては、HDDの内容を消去だという。ちょっと待ってくれ、BS2の小津特集を初めとしてスカパーで録画した貴重なデータが入っているのに勝手にそんなことしないでくれ。ところが録画内容に関してはSonyでは責任を負う義務がないという。確かに説明書にもそう書いてはいるが……では代替機は貸してもらえるのかと尋ねると、そういうサービスはしていないという。最悪である。堂々回りの末、こちらが折れて、素直に引き取りに来てもらうことにした。ただし万が一HDDの消去という事態になったときは、必ず連絡するようにと念を押して。だが彼らにしてみれば、こちらの大切なデータも補償責任がない以上、お気楽に消去するに違いない。発売直後に買って半年以上になるが、このコクーン、不具合の例は数え切れないほどあり、つい最近もBS2の『ダンディー少佐』(サム・ペキンパー)を、せっかくシネスコ版での放送だというのに、何故かタイマー録画が中断されていておじゃんになったばかりだ。他にも大事な録画を何度失敗させられたことか。本当に最悪のメーカーだ。今までパソコンはApple、家電はSonyと決めていたが、今度ばかりは本当にうんざりした。二度とこのメーカーの製品は買わないつもりだ。
なおこれからHDD/DVDレコーダーを買おうと思っている方に一言。私の使っている機種はコクーンのNDR-XR1。こればかりはお勧めできない。
そういえば今月末にはBS2で『聖杯伝説』(エリック・ロメール)の放送があるではないか!去年、シネフィル・イマジカで録りそこねた(やはりコクーンの不具合のため)のが、やっと放送されると思ったのに!