伯爵夫人

hj3s-kzu2004-03-21

a)『伯爵夫人』(チャールズ・チャップリン
a)ペドロ・コスタの特別講義で抜粋を観て、それがあまりにも面白かったので、見てみた。ルビッチやホークスやプレストン・スタージェスをすでに見てしまった者にとって、このロマンティック・コメディはいささか野暮ったいところもあり、スピード感にも欠けるのだが、それでもなお、クローゼットの中からソフィア・ローレンが出てきて、彼女を隠すためにマーロン・ブランドがバタバタする扉のギャグはやはり面白いし、また、議論をしていたブランド、ローレン、シドニー・チャップリンの三人が船酔いのために一斉に嘔吐をし出すシーンで、ソフィア・ローレンが吐こうとした船窓が開かず、バスルームに行くがそこはブランドが使っており、仕方なくベッドの上に置いてあった新品の帽子の中に吐こうとしたら、ブランドが飛び出してきて制止するというところなどは大笑いした。またパスポートを持たない彼女をアメリカに入国させるために、ブランドの執事と偽装結婚させるのだが、この執事というのが何を勘違いしたのか、「新婚初夜」を装うために彼女と二人っきりになった寝室で、彼女にしきりに色目を使うところなども可笑しく、見ていてその場のソフィア・ローレンの恐怖感までこちらに伝わってくるほどだ。なお客室乗務員としてチャップリン自身が、また舞踏会でのブランドのダンスの相手としてジェラルディン・チャップリン(カワイイ!)が数カット出ている。なおこの作品はチャップリン自身は主演していないのだが、間違いなくソフィア・ローレンや執事役のパトリック・カーギルに乗り移っている。
淀川長治さんが生きていたら、ぜひペドロ・コスタチャップリンについて(もちろんルノワールやフォードや溝口についても)対談してもらいたかった。きっと淀川さんは「あんた若いのによう知っとるな」とか何とか言ってコスタと意気投合したに違いない。そう思うととても残念だ。
なお『伯爵夫人』を見ているとドリフのコントを思い起こさせるギャグが沢山出てくる。あわせていかりや長介さんの御冥福をお祈りします。


Countess from Hong Kong / Movie


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