テキサス決死隊

hj3s-kzu2004-03-23

a)『テキサス決死隊』(キング・ヴィダー
a)3が2になり、さらに1になる映画。三人組の追い剥ぎ強盗が二人と一人に別れ、前者は「テキサス警備隊」へ、後者は強盗団の首領となる。前者は後者から再び悪の道に誘われるが最終的にはそれをはね除け、両者は必然的に対決する羽目になる。
これだけ沢山のプロットを盛り込んでおきながら、上映時間は95分に収まっている。なぜ30年代のハリウッド映画がこれほどまでに経済的なのかとつらつら考えてみるに、個々の挿話の描写が簡素であることと、登場人物の「心理」といったものに深く踏み込んでいかない(「心理は構造の中にしかない」ペドロ・コスタ)からではなかろうか、という暫定的な結論に達した。もし現代のハリウッドでこれをリメイクしたら(大いにありうることだが)、上映時間は優に二時間半を超えるだろうし、その際、脚本家は、「悪の一大帝国」といったものが築き上げられる過程をもっと大袈裟に描くだろうし、三人の友情や警備隊隊長の娘とのロマンスといったものをもっと盛り上げるかもしれない。しかしヴィダーの映画ではそういったことは行われないし、それで十分である。なおワフー役のジャック・オーキーがいい感じ。
小津安二郎全発言(1933-1945)』(田中眞澄編、泰流社刊)を読むと、当時の小津が最も評価していた海外の映画作家がキング・ヴィダーであったことが分かる。索引を調べるとルビッチよりも多く言及されている。なおヴィダーの作品で小津が絶賛していたのは『南風』。見たい。というわけでしばらくキング・ヴィダーまつりをやる予定。
などと書いてきて、もしやと思って調べたら、案の定、2001年に『テキサス・レンジャーズ』としてリメイクされていたのだった。もっともあらすじを読む限り、オリジナルとは違う物語のようで予想はハズレ。
藤子不二雄先生がこの作品をマンガ化したとの情報あり。