シルヴェストレ

hj3s-kzu2004-12-19

a)『シルヴェストレ』(ジョアン・セーザル・モンテイロ
a)この作品についてはnobodyの結城秀勇氏の素晴らしい評を参照のこと。
http://www.nobodymag.com/journal/archives/2004/1226_0757.php
なお、詳しいデータは以下の通り(Contre Champ作成)。

シルヴェストレ Silvestre 1981(120分)

監督・編集:ジョアン・セーザル・モンテイロ/脚本:ジョアン・セーザル・モンテイロ(二つのポルトガル民話による)/台詞:マリア・ヴェリョ・ダ・コスタ、ジョアン・セーザル・モンテイロ/助監督:ヘレナ・ドミンゴ、マルガリータ・ジル、テレサ・シュミッド/撮影:アカシオ・デ・アルメイダ/録音:ヴァスコ・ピメンテル、マリア・パオラ・ポル/美術:アナ・ジョッタ/衣装:マリア・デ・ロウルデス・ローシャ、マリア・イレーネ・アシス/編集:テレサ・カルダス・マヌエラ・ヴィエガス/音楽:ペロチヌス・マグナス、モンテヴェルディシューベルトモーツァルト、アロンゾ・ムダッラ、ポルトガル民謡/エグゼクティヴ・プロデューサー:パウロ・ブランコ/製作:V.O.フィルムズ/出演:マリア・デ・メデイロス(シルヴィア/シルヴェストレ)、テレサ・マドゥルガ(スザーナ)、ルイス・ミゲル・シントラ(巡礼者/騎士/ドン・レイモンド)、ジョルジュ・シルヴァ・メロ(ドン・パイオ)、ホセ・マリア・ストラヴィス(副官)、ジョアン・セーザル・モンテイロ(国王)

(あらすじ)

この映画のプロットは二つのポルトガル民話から採られている。ユダヤ=イベリア起源の『戦に出かけた乙女』(15世紀頃)と、口承の短編物語で青ひげ伝説群の一部をなす『死人の手』がそれである。

ドン・ロドリゴには二人の娘がいる。正妻の子のシルヴィアと妾腹の子のスザーナである。年を取り、男の跡取りがいないので、ドン・ロドリゴは自分の領地の安寧と拡大を狙って、シルヴィアを隣人で裕福な貴族のドン・パイオに嫁がせることに決める。大食漢で女たらしのその婚約者の短い訪問の後、ドン・ロドリゴ婚礼の席に国王を招待するために宮廷に赴く。出発に際して、彼は娘たちに見知らぬ人を家に入れてはならないと指示する。

ある日、巡礼者がやってきて、一夜の宿を貸して欲しいと乞うと、シルヴィアは父親の命令に背いて、彼を招き入れる。炉ばたで巡礼者は娘たちにオレンジを与える。スザーナはそれを食べるが、シルヴィアは食べるふりをするだけである。その後、巡礼者は二人の娘がいる部屋に忍び込み、シルヴィアが寝たふりをして恐怖におののいている間、彼はオレンジのせいで意識が朦朧となっているスザーナを犯す。

大広間ではテーブルの上に置かれた一つの「手」が光を放っている。外では雨が降りしきる中、戸口で巡礼者は角笛を吹いている。シルヴィアは急いで彼を外に閉め出す。巡礼者は神聖で先祖伝来の「手」を返してくれと叫ぶ。悪魔の手と取り引きしているのだと考えて、シルヴィアは拒絶する。もしシルヴィアが「手」を返してくれたら、全てを知ることになるだろうと、彼は約束する。少女は彼に光り輝く「手」を受け取るために戸口から手を伸ばすように伝える。男がそうすると、シルヴィアは剣で彼の手を切り落とす。

父親が戻ってきた時、娘たちは事件のことを彼に隠したままにする。ドン・パイオとの婚礼が行われるが、宴会の最中に一人の騎士がやってきて、シルヴィアとの結婚を要求する。仰天した父親もついには、誰も倒すことのできなかった獰猛な竜を騎士が退治するという条件で、それに同意する。竜は退治され、妹に付き添われたシルヴィアは騎士の居城に連れていかれるが、そこで騎士は自分の正体と、切断された腕、そして彼女を殺害する意思を明らかにする。シルヴィアは妹に知らせる。スザーナは身代りになり、シルヴィアが城から逃げ出すのを助けることに成功する。騎士はそのからくりを見破り、後を追うが、シルヴィアは何とか切り抜けて実家に戻る。すると、執事のマリアスが言うには、彼女の父親が狩りの最中に盗賊にさらわれてしまったのだが、まずスザーナを救出するための遠征に取りかからねばならないとのことである。その準備の最中にスザーナが現れる。シルヴィアは父親を助けるために武器を取ることを決意する。スザーナは思いとどまらせようとする。兵士の格好のシルヴィアは自らの性を隠して、シルヴェストレと名乗る。

シルヴェストレは、彼女の父親の誘拐犯を追跡する若い副官の指揮下の部隊に入り、その若さにも拘わらず戦場で勇敢に戦い、負傷して倒れる。副官は彼女が女性であることに気づき、宮廷に現れた彼女に恋をする。

ドン・ロドリゴの所在を知っていると断言する一人の貴族が現れ、もしシルヴィアが妻になってくれるのなら、父親を無事に連れ戻してみせることを約束する。少女はその申し出を受け入れる。

婚礼の宴の最中、スザーナは花婿があの巡礼者で騎士の新たな偽装であることを見破り、塩の箱に入った光り輝く「手」を見せることで彼の正体を暴く。この悪党は彼女を殺そうとするが、最後に副官によって倒される。シルヴィアの突然の不幸は、妾腹の娘と和解した父親を激昂させる。客人たちは悪党の亡骸を豚小屋に放り投げて餌にし、シルヴィアは副官と一緒に星々を経巡る旅路に就く。

                            
昨夜、ABCの蓮實氏の講演に行った後、旧『AA』スタッフ周辺の仲間たちと忘年会で朝まで飲み、帰宅して仮眠を三時間ほど取ってから、地下上映会のために映画美学校に行って会場の準備をし、このままだとたぶん寝るかもと思いつつ、モンテイロのあまりの面白さにやはり目が離せずに最後まで見、会場の後片付けをして、その足で仕事に行き、帰ってから今度は講演のレポを忘れないうちに書かなくてはと思い立ち、一気呵成に書き上げるとすでに夜は明けており(二晩完徹)、まだこうして日記などを綴っているわけだが、何てオレって健康なんだろう(外見からは想像もつかないのだが)と考えるが、でもそれって逆に不健康かもと思い直したりして。ああ!早く寝なくちゃだわって、映画は人を狂人ぢゃなかった強靱にするのだった。