a)『夜と昼(アバンチュールはパリで)』(ホン・サンス)◎
ホン・サンスの新作を堪能した後(『浜辺の女』以降、それまでの彼の作品を特徴づけていたあからさまなセックス描写はなくなったが、それにしてもこのエロさは何なのだろう)、蓮實先生のトークを聞きに新宿へ。開演まで二時間以上もあったので紀伊国屋をぶらつく。開場を待っていたら、見知らぬ老婦人に話しかけられ、その文化系マシンガントークを三十分以上聞かされるはめになり辟易する。
さて本日のお題は「映画 あるいは類似の罠」ということだったのだが、最初に「類似」とおっしゃった瞬間に、たぶん『侠骨一代』(マキノ)を上映するだろうと予想がつき(この間の京都映画祭でお会いしたので)、それ以後の展開と抜粋作品もほぼ分かってしまったのだが、唯一、意外だったのは『魔人ドラキュラ』(トッド・ブラウニング)を出してきたことで、だいぶ昔に見たので忘れていたのだが、あの鏡のインサートとそのすぐ後、ベラ・ルゴシがバシッとそれをはたき落とすアクションの呼吸には痺れた。見直さねば。それにしても先生がブラウニングに言及するのって珍しいね。トークの内容自体はこれまでお書きになったり、お話されてきたことのまさに「リメイク」だったので(確信犯?)、特にレポはいたしません(そろそろこういうことは止めようと思うので、きちんとした映画的教養のある人*1、誰か代わりによろしく)。
帰りに藤原ちからさん、青山あゆみ嬢、山本くんで呑みにいく。蓮實講義初体験の青山嬢に今日の感想を尋ねたら、面白かった、とのことで実に喜ばしい。

*1:最低限、固有名詞を間違えたりしない、ということ。そういう中途半端なレポをときどき見かけるので。せめて書く前にちゃんと調べろよ、と言いたい。