映画と犬たち

a)『子供たち』(マルコ・ベキス)
b)『苺とチョコレート』(トマス・グティエレス・アレア
c)『女囚701号 さそり』(伊藤俊也)
最近出た『映画の授業』(映画美学校の講義の採録、良書)の塩田明彦氏のシナリオ論だったか演出論に、『さそり』について触れられていて、無性に見返したくなった。で久々に見てみるとちょっと肩すかしを食らったのだった。正直言って塩田氏の語り口の方が面白い。この「さそり」シリーズでは第三作の『女囚さそり けもの部屋』(伊藤俊也)と第四作の『女囚さそり 701号怨み節』(長谷部安春)を個人的には偏愛しているのだが、伊藤俊也のデビュー作でもあるこの作品は、梶芽衣子が魅力的であるのはもちろんなのだが、例えばシャワー室での乱闘騒ぎでの歌舞伎のような隈取りをして梶芽衣子に突進(というよりはどこか悪夢のような前進)したりするあたりのやりすぎ感のある演出は今見るとかなり可笑しいのだが、当時の予告編ではこれが「斬新な演出」と呼ばれていたりするのだった。