見ちがい言いちがい

a)『獣の血』(ジョルジュ・フランジュ
b)『悪魔の手』(モーリス・トゥールヌール)
c)『アウト・ワン 第1話-第2話』(ジャック・リヴェット
某映画同人誌のサイトに載った『エレファント』評を読んで、思わず仰け反った。その評では『エレファント』で録音に「ピンマイク」が使用されたという前提で論が展開されているのだが、この論者は、女生徒三人が食堂に向って廊下を歩きながらおしゃべりしているシーンで、彼女たちを背後から捉えたキャメラのフレームの左上に一瞬映り込んだ黒い物体を見なかったのだろうか。あれはどう考えても「ガンマイク」の先端のはずなのだが…やはり「雑誌」は信用ならない。それともインタビューか何かで監督本人が「ピンマイク」を使ったとでも言っているのだろうか。あるいは「ピンマイク」とは比喩なのか。「口紅殺人事件」ならぬ「マイク消失事件」の謎を誰かに解決しててもらいたいところだ。ちなみにカサヴェテスやリヴェットの作品中でも「ガンマイク」が映り込む瞬間があったような記憶があるが、これも即興を重視する映画作家の宿命だろうか。