世界中がアイ・ラヴ・ユー/トラック野郎 爆走一番星

a)『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(ウディ・アレン
b)『トラック野郎 爆走一番星』(鈴木則文

a)ラスト近くのアレンとゴールディ・ホーンの夜のセーヌ河岸のミュージカル・シーンが何と言っても素晴らしい。『バンドワゴン』(ヴィンセント・ミネリ)でのアステアとシド・チャリシーの同様の場面を思い起こさせる。もちろんアレンはアステアほど舞踊の才能に恵まれているわけではないけれど、それを補うワイヤー・アクションの控えめな使い方が何と言っても上品だ。見ていて少し瞳が潤んだ。
b)現在の語りの経済からすれば三、四本分の映画が作れそうな題材を脚本家たち(鈴木則文澤井信一郎)は力技でこの一本の作品に詰め込んでみせる。結果、物語のインフレとも言うべき現象が生じているのだが(二時間に満たないはずの映画が実際より長く感じられる)、そこはシリーズ物の強みかそれほど気にならない。お下劣ギャグ満載。当時は澤井信一郎もこういうものを書いていたんですな。
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