RIP JD

hj3s-kzu2004-10-10

ジャック・デリダ氏が亡くなりました。心より御冥福をお祈りいたします。
a)『ある三面記事についてのメモ』(ルキノ・ヴィスコンティ
b)『熊座の淡き星影』(ルキノ・ヴィスコンティ
a) ローマ郊外に出来た新興団地で14歳の少女が殺される。この映画はその事件についてのドキュメンタリーである。ただ原っぱが遠くまで広がって辺りには何もないこの新興住宅地では、かろうじて一本の細い道が延びていて、それが街とこの地を結ぶ唯一の経路だ。この道の片側に沿って団地は並んでいる。反対側の少し低くなったところにある空き地では子供達がタンバリンのようなものでボールを打ち返す遊びに興じている。団地の壁にもたれて遠くを見つめる少女の姿(もちろん被害者とは別人)。画面がふいに彼女の横顔のクロースアップになる。そこにこの事件の概要を伝えるナレーションが入る。殺された少女はおそらく貧しい階層の出なのだろう、お菓子をあげると言葉巧みに誘い出された彼女は草むらに引き込まれて殺され井戸に投げ込まれる。といってもそれが再現されるわけではなく、キャメラはただ冷徹に事件の起きた草むらや何もない草原にぽつんとある井戸と少し離れたところに倒された自転車をロングショットで捉えるだけだ。そこに撲殺音のようなものや井戸に何かが投げ込まれる音、そして何者かが逃げ去っていく足音だけが聞こえる。犯人はこれが撮られた時点ではまだ捕まっていない。最後に映画は再び団地の前の一本道を映し出す。神父らしき人物の小さな後ろ姿が遠くに去っていく。

ルキーノ・ヴィスコンティ DVD-BOX ( イノセント / ルードウィヒ 完全復元版 / 熊座の淡き星影 )