a)『女ひとり』(ヴァルター・ライシュ)★★★
b)『シリアナ』(スティーヴン・ギャガン)★
a) 前半少しうとうとしてしまったが、家庭教師が登場するあたりから俄然面白くなり、最後まで引き込まれた。ただこれラスト一巻ぐらい欠落してませんか?あれがラストショットというのはどうも考えにくい。五線譜の上をダンスするショット(文字通りに。最初、楽譜のアップかと思ったら、実は巨大なセットだった)とかあってなかなか画面が凝っている。撮影はハリー・ストラドリング!
b) ジョージ・クルーニーの出ている映画という程度の予備知識しか持たずに見たのだが、砂漠の真ん中でアラブ人たちがバスを待っているのを捉えた冒頭の手持ちショットを見た瞬間、いやーな予感がしたのだが、まさに適中。要するに中東版『トラフィック』だった!麻薬を石油に置き換えただけで構造は一緒(だからって演出まで真似するな!)。ソダーバーグ自体もいかがなものかとは思うが(ただしジュリア・ロバーツアルバート・フィニーの出ている『エリン・ブロコビッチ』は好き。撮影がエド・ラックマンなのもよい)、それのパチもんという感が。せめて『トラフィック』のキャサリン・ゼタ・ジョーンズみたいな女優がいたら少しは許せたんだけど。で、クレジットを見たらやっぱりソダーバーグ一派の映画だったという。もうアメリカ映画で意味もなく手持ちキャメラ使うのはホント禁止にしたい。手持ち使えばリアリティ出るとかって錯覚に過ぎないから。それにアップ多過ぎ。あとこの映画のジョージ・クルーニーって助演じゃなくて、主演じゃないの。ついでに言うとラストショットが全然ダメ。
しかし『シリアナ』程度に★みっつ付けて、『ウォーク・ザ・ライン』に★ふたつ、『ミュンヘン』にいたっては★ひとつしか付けない今の本家「カ●エ」編集部って一体何?アメリカ映画に対するパースペクティヴが完全に狂っているとしか思えない。アホちゃうやろか。