a)『車夫遊侠伝 喧嘩辰』(加藤泰)★★★★
b)『怪談 お岩の亡霊』(加藤泰)★★★★
映画週間開始。
実を言うと藤純子より桜町弘子、特に『骨までしゃぶる』とこの『喧嘩辰』の桜町弘子が好きだったりするのだが、数年ぶりに見直して最初に彼女が内田良平の人力車に乗り込んで、ふたりが掛け合いをし始めるあたりから、客席は爆笑の渦に巻き込まれているにもかかわらず、こちらは一人で催涙モードに入ってしまう。内田が彼女にプロポーズする充実した縦構図の長回しでの画面手前の徐々に柔らかくなっていく彼女の表情の変化が素晴らしく、最初の結婚式の雪の夜、内田の牽く俥に彼女が乗って行くショットでもう涙が止まらず、後はもう何度となく泣く。「落下」の主題がラストに回帰するのにも泣かされる。