映画美学校映画祭2006その2

映画美学校映画祭2006より。
『地獄の門三部作』(近藤編★★/別府編★/古謝編●)
『チェリーボーイ・ミーツ・ガール』★
『砂漠で乾く』●●●
サンドラ・ブロックスのフェイク/人生』(氏原編●/清水編★/千浦編★★★)
『愛児』★
『あばれ太鼓』★
『あなたにふさがれていたい』●
『カオス生まれ』●
『暴力わらしべ長者』(黄編★/青山編●/土屋編★★/関根編★)
今日は『サンドラ・ブロックスのフェイク/人生』(千浦編)と『暴力わらしべ長者』(土屋編)が見られて本当によかった。特に前者は見ていて涙が出そうになった。数カットしかでてこない母親役の女優が素晴らしい。後者は女子高生役の女優が殴られる瞬間から映画が動き始める。血で汚れた彼女の顔も美しい。『地獄の門』(近藤編)は主演男優の存在感が圧倒的だし、視線の演出も悪くないが、もう少し美術に気を使ったほうがいいと思った。逆に(別府編)は美術に凝っている反面、演出に品がない。(古謝編)は他の二編と同じ原作を大幅に改変したものだが、それで良くなったかと全くその逆である。『チェリーボーイ・ミーツ・ガール』はもう少し女優を魅力的に見せる工夫をした方がいい。『愛児』の作家は撮る度につまらなくなっているような気がするのが、他人事ながら心配(もう一度『レターは、ピン!ポン!!』のような作品を撮ってほしいものだ)。『あばれ太鼓』『あなたにふさがれていたい』『カオス生まれ』の作家はこの中では一番テクニックがあるとは思うが、どうも狭い世界に留まっている気がして興味が持てない。今日、見ていて一番許せなかったのが『砂漠で乾く』である。あのアウシュヴィッツの生還者を追悼するために、こんな映像の垂れ流しでいいと思っているのだろうか。撮ることの倫理があまりにも欠けている。
a)『死なば諸共』(西山洋市)★★★★
b)『おんな極悪帖』(池広一夫)★★★
『死なば諸共』もう一回見たい…。なんかボディーブローのようにじわじわ効いてきた。マジやばいっす。